3Dプリント技術で修復された14世紀フィレンツェの洗礼堂の扉

14世紀に建てられた洗礼堂の装飾扉を3D技術で完璧に復元

約700年前に建てられたフィレンツェの洗礼堂は、イタリアの3Dスキャンおよび3Dプリントサービスプロバイダー Prototek と提携し、3Dスキャンと3Dプリント技術を使用して、歴史的価値の高いブロンズ扉のレプリカを作製した。


Photo:Prototek

1059年から1128年の間に建設されたフィレンツェで最も古い建物の一つとされる洗礼堂は、レリーフ彫刻が施された芸術的にも重要なブロンズ製の3つの扉を備えている。中でも南の扉は、この3つの扉の中で最も古いもので、1329年から1336年の間に設計されたとされている。高さ5メートル超、幅4メートル超の扉は28枚の装飾パネルから構成されており、洗礼堂の名前の由来となった洗礼者ヨハネの生涯が描かれている。
しかし、数百年におよぶ風雨や汚染の影響で激しく劣化し、オフィシオ・デッレ・ピエトレ・ドゥーレの研究所で修復プロジェクトが行われていた。

サンタ・マリア・デル・フィオーレ歌劇場が主催する文化保護プロジェクトは、その活動の一環として、この美しい装飾が施されたブロンズ製扉を正確なレプリカと交換することを決定。

扉は、Prototekの協力を得て「Artec Space Spider」3Dスキャナを使用してデジタルスキャン。解体された28枚の装飾パネルは、4枚づつ7列に並べられ、10日間かけてスキャンされた後、高解像度の3Dカラーモデルへと変換された。

スキャニングを経て3Dモデル化されたデータは、3D SystemsのSLS方式3Dプリントシステム「ProX 500」と、ガラス充填のエンジニアリングプラスチック材料「DuraForm GF (SLS)」を使って3Dプリントされた。3Dプリントされたパネルは、美術鋳造を専門とする Ciglia e Carrai によって鋳型原型に使用され、その型を利用してブロンズ製の真新しい正確なレプリカを作製した。

3Dスキャニングと3Dプリントを含む3D技術は、歴史的な芸術作品の復元や複製、保存を目指す個人や組織によって活用される機会が増えている。


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