オーストラリア軍がメタル3Dプリンタの実地試験に成功

オーストラリア陸軍は戦地での使用を想定したメタル3Dプリンタの実地試験に成功した

オーストラリア陸軍は、オーストラリアのメタル3Dプリンタメーカー SPEE3D と協力して、戦場における3Dプリントの実地試験を行うため、SPEE3D の大型メタルプリントシステム「WarpSPEE3D」を用いた実地テストに成功したことを発表した。

2020年2月、オーストラリア陸軍は150万豪ドルを投じて、アディティブマニュファクチャリング(AM)システムを利用する軍事プロジェクトを開始。12ヶ月間に及ぶこのプログラムは、20人の兵士がチャールズ・ダーウィン大学(CDU)で先進的なAM製造技術のトレーニングを受けるところから始まり、第一段階の試験を終えた6月初旬、ダーウィンにあるオーストラリア北部にある陸軍基地ロバートソン・バラックスに大型メタル3Dプリントシステム「WarpSPEE3D」を搬入。そしてそのわずか1週間後には、陸軍の第一戦闘支援大隊の兵士たちが、実地試験を行う野外訓練場へプリンタ本体を運び入れた。

ダーウィンの南東120kmに位置するマウント・バンデイ野外訓練場で実施された3日間のトライアルにおいて「WarpSPEE3D」メタル3Dプリントシステムは、困難な状況下での運搬や荷降ろしにも耐え、設置から30分程度でシステムの稼働に成功。屋外における困難な状況下でも、ミッション中に破損した部品類を短時間で供給できるAM技術の可能性を示した。

SPEE3Dの「WarpSPEE3D」は、特許取得済みの「SPEE3D テクノロジー(Supersonic 3D Deposition)」を採用した大型メタル3Dプリントシステム(造形領域:Ø1000mmx 700mm)で、従来のメタル3Dプリンタよりも100〜1000倍高速でコスト効率が高く、スケーラブルな生産を可能にする。最大40kgの大型金属部品を毎分100グラムの速度で生産する能力を有するこの驚異的な速度により、従来の技術で数日から数週間要していた機能部品を僅か数分で造形して供給することが可能となる。このメタル3Dプリンティングプロセスは、プロトタイピングや少量生産での使用から、実際の製造ソリューションへとシフトしている。

SPEE3Dの3Dプリントシステムは、オーストラリア陸軍がこれまでのサプライチェーンを通じて入手してきた物と比較して、迅速にそして低コストで部品調達が可能であることを証明した。更にこのシステムによって実証された機動性により、兵士達は演習中にスペアパーツを持ち運ぶばず必要が無くなり、必要な部品を現地調達することが可能となった。
オーストラリア軍は「様々な環境下で部品をプリントする能力を有するこのシステムは、オーストラリア陸軍が戦闘任務中に損傷した装備品をより早く交換、修理できる可能性を証明しています。」と述べている。


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