- 2020-6-4
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米陸軍の研究機関が兵士のためにカスタマイズされた3Dプリント耳栓を開発
米陸軍航空医学研究所(U.S. Army Aeromedical Research Laboratory 以下 USAARL)の研究チームは、3Dプリント技術を使用して、米軍兵士のためにカスタマイズ可能な3Dプリント製耳栓を開発し、実戦適用に向けたテストを行っている。
銃火器を使用する際に発生する騒音により、難聴に苦しむ兵士が少なくないが、彼等には何らかの聴覚保護装置(HPD)の着用が義務付けられており、日常的に危険な騒音にさらされている者については、陸軍聴覚プログラム(AHP)に登録するなど、難聴の予防に取り組んでいる。しかし米国では、聴力障害による労災請求に毎年2億4,200万ドルが費やされていると推定されており、兵士達への聴覚ダメージは、社会的な相互作用に参加する能力を制限するだけでなく、戦場での戦闘意欲を失う原因となる可能性があるとされている。
DoD photo by Staff Sgt. Adam Mancini, U.S. Army/Released
このような課題に対応するためUSAARLの研究チームは、個人の耳に最適化された複数の耳栓サンプルを作製するため、従来の物理的な測定方法と製造プロセスに加え、デジタルスキャンや3Dプリント技術を活用した製造プロセスなど、様々な製造技術を活用した6つの耳栓サンプルを作製。
ボランティアに参加した20人の兵士の耳に適した3Dモデルを作成するため、デンタルスキャナとして普及している 3Shape、Lantos、eFit が提供するスキャナーを使用して、各スキャン技術毎に5人づつの被験者の耳をスキャン。デジタルスキャンされたモデルは、Cyfex Secret Ear Designer ソフトウェアを使用して3D化され、Envisiontec の「Perfactory Micro」3Dプリンタと「E-Silicone M」材料を使用して3Dプリント。プリントされたシェルは、イソプロピルアルコール溶液で洗浄し乾燥させた後、圧力重合装置「Polymax 1」を用いて材料を硬化(60℃ 約15分)させた。
新旧それぞれの方法で得られたカスタム耳栓は被験者に渡され、それぞれの使い心地を評価してもらった。
その結果、従来の方法で製造された耳栓は最高レベルの聴覚保護を提供したが、快適性に欠けていた。一方、デジタル技術を使用して造られた耳栓は、物理的なプロセスを用いて造られた耳栓よりも効果が低いことが判明した。研究チームによれば、これはデジタルデータを生成する側の技術に起因する可能性があり、プロセスをより洗練させるためには、更なる研究が必要であると述べている。
米軍は、兵士達へより良い医療支援を提供し、戦場で活用するための試みとして、3Dプリント技術の活用拡大を目指している。今後さらなる研究が行われ、より最適化された新技術の採用が進めば、兵士達の聴力損失を防ぐことができると期待されている。
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