12個のレーザーを搭載したメタル3Dプリンタ「NXG XII 600」

SLM Solutions、12基のレーザーを搭載した金属3Dプリントシステム「NXG XII 600」を発表

ドイツの金属3Dプリンターメーカー SLM Solutions は、オンラインでの開催となった世界最大規模のアディティブ・マニュファクチャリング関連展示会「Formnext Connect」のトレードショーで、12基のレーザーを搭載した新型メタル3Dプリンタ「NXG XII 600」を発表した。

NXG XII 600 は、600×600×600mmのビルドエンベロープ、既存モデルの2倍に相当する216リットルのビルドシリンダーを有する大型産業用システムで、同時に動作する12基の1KWレーザーによるマルチレーザー機能と、最適な生産性と信頼性を提供する新しいズーム機能などの革新的なシステムを搭載しており、同社のシングルレーザータイプメタルプリンタ「SLM 280」の20倍、4レーザーマシンの最大5倍に相当する高速化を実現。大きな造形領域と高速プリント機能を搭載する NXG XII 600 は、自動車産業や航空宇宙産業を中心とした大型部品の大量生産(年間10.000kgの生産量)のためにカスタム設計された特別なシステムである。

NXG XII 600 は、12基のレーザー間で負荷を均等に分散させるための統合されたスキャンフィールドパーティショニングを可能にする新しいサーマルコンセプトを採用。また、新しいUIソフトウェアによりシステムの操作性を向上させ、必要な初期トレーニング工数を軽減し、より生産性を高めることに重点を置いる。
更に NXG XII 600 には、セットアップを容易にするための自動ビルドシリンダー交換、自動ビルド開始機能や外部予熱ステーション、外付け消耗品ステーションの両方を備えており、ユーザーはダウンタイムを短縮してスループットを最大化するため、重力式と真空式の2つの粉体処理オプションを選択することもできる。

SLM Solutions のCOOであるSam O’Leary氏は、この機械を「工業生産における革命」と評し、次のように述べている「これまで、メタルプリントシステムには4つのレーザーシステムを搭載するのが限界と考えられてきたましたが、12のレーザーを搭載する NXG XII 600 によって実現するコスト削減と生産性の向上は、アディティブ・マニュファクチャリング製造における歴史の中で初めてのシステムであり、真の大量生産技術をサプライチェーンに統合可能であることを意味ています。」

2019昨年まで収益目標を達成できなかった SLM Solutions だが、2020年第1四半期には記録的な成長を遂げ、直近の決算において37%の増収を発表。この売上高向上は、複数の航空機メーカー、自動車メーカーとの間に結ばれた開発パートナー契約に起因するものである。例えば、今年初めには航空宇宙コングロマリットである Honeywell と協力して、アルミニウム F357を3Dプリントするためのパラメータセットを作成。同社はまた、宇宙開発企業のオルベックスや、フランスの高級スーパーカーブランド ブガッティ とも提携し、ロケットエンジンやブレーキなどの重要部品を開発している。


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