ポルシェ旧車部品を3Dプリンタで生産

ポルシェは入手困難となったクラシックカー部品を3Dプリント技術で生産

ドイツのスポーツカーメーカー「Porsche(ポルシェ)」のクラシック専門部門である「Porsche Classic,(ポルシェクラシック)」は、スペアパーツの入手が困難なクラシックカーのスペアパーツ供給問題への解決策として、3Dプリンタを活用する。

現在ポルシェクラシックの倉庫には、同社が伝統的な技法で製造した約52,000の部品を在庫しているが、それだけでは補えない入手困難な希少部品や、在庫数の限られた部品も少なくない。同社はこれらの問題を解決するための手段として、3Dプリンタを積極的に活用。
これまでのところ同社は、9つの部品の3Dプリント製造に取り組んでおり、今後さらに20個の部品をテストし、プリントに適しているかどうかを確認している。

同社はその一例として、1986年に登場したスーパーカー「ポルシェ 959(以下 959)」のスペアパーツ製造を紹介している。
これまでに292台しか生産されたなかった959には、専用部品の在庫がほとんど無く、スペアパーツの入手が極めて困難な一台となっている。この959のクラッチで使われているリリースレバーも現在では入手不可能な部品の一つであり、それを解決するまめの手段として3Dプリンタを活用した。


3Dプリント部品

メタル3Dプリンタで製造されたスペアパーツは、圧力テストを経て実車に搭載。広範囲に渡る試験走行を行い見事に合格し、959の正式なスペアパーツとして採用されることになった。

同社は、金属部品の製造にSLM(Selective Laser Melting)方式の3Dプリント技術を活用し、プラスチックパーツについてはSLS(Selective Laser Sintering)方式による3Dプリント技術を採用している。

自動車業界へ広がる3Dプリント技術

過去の自動車関連記事でも伝えた通り、自動車業界ではクラシックカーのレストアやカスタムカーの生産に3Dプリント技術が活用されており、メルセデスに至っては、2016年よりトラック部品の一部に3Dプリンタで製造されたプラスチック部品を適用すると発表し、生産が終了した旧型トラックの部品などをメタル3Dプリンタで製造している。

3Dプリンタによるパーツ製造のメリットは、入手困難な部品が製造できるようになるだけでなく、不要な廃棄物や倉庫(保管スペース)を大幅に削減することができる。また、3Dプリンタとデータがあれば何処でも部品製造が可能となるため、部品配送に掛かっていた物流コストをほぼ「0」にすることもできる点にある。
この流れは今後も拡大し、新車部品などにも3Dプリント技術の活用が拡大すると考えられる。


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