宇宙空間で人工肉の3Dプリントに成功

食品技術スタートアップとロシアの研究機関が宇宙空間で人工肉のバイオプリントに成功

国際宇宙ステーション(以下 ISS)内において、無重力(微小重力)条件下で臓器プリントなどの実験を行うバイオテクノロジー研究機関「3D Bioprinting Solutions」は、3Dティッシュエンジニアリングプラットフォームを使用した培養肉開発を専門とするスタートアップ Aleph Farms(以下 アレフファームズ)と協力し、宇宙空間において筋肉組織のバイオ3Dプリンティングに成功した。

ロシア最大の民間医療関連企業INVITROによって設立されたバイオテクノロジー研究機関「3D Bioprinting Solutions」は、ISS内で研究を進めているバイオ3Dプリンティング技術を使用して、小規模な筋肉組織のプリントに成功。土や水資源から離れた無重力環境において、人工食用肉の生産が可能であることを証明した。

畜産に伴う現在の動物飼育方法は、地球温暖化など環境の変化に大きな影響を与える産業のひとつとして社会問題化している。2019年9月に公開された気候変動に関するレポートでも、現在の畜産は、森林破壊、汚染など気候変動に大きく影響していると示している。また、1Kgの牛肉を生産するためにはその約20,000倍(環境省データ)もの水が必要とされているが、水資源が乏しく、密閉された空間内における排出ガスにも配慮が必要な宇宙空間は、生態学的影響を大幅に低減した人工食用肉製品を生産するプロセスの研究において、最も適した環境となる。


アレフファームズは、この制限された環境下でも適切に人工食用肉を生成する技術を確立することで、家畜肉と同じ味、食感、構造を備えた、健康的で安全な人工食用肉製品を生産する方法を確立することを目標としている。

環境破壊や爆発的な人口増加に伴う食糧不足問題など早急な対応が迫られる中、3Dプリント技術を用いた代替肉生成プロセスの開発に世界中が注力している。


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