豆と海藻から作られた3Dプリント製「肉」を開発

カタルーニャ工科大学と生物医学の研究者が豆と海藻をベースとした3Dプリント製「肉」を開発

生物医学と組織工学の専門家であるイタリア人研究者ジュゼッペ・シオンティは、バルセロナ・カタルーニャ工科大学(UPC)と共同で、米やエンドウ豆のタンパク質粉末と海藻の成分を使って、動物肉を含まない3Dプリント製「肉(食肉代替物)」を開発。

シオンティ氏は、CADソフトウェアと3Dプリント技術を使用し、食材を「肉」のように変えるプログラムを設計。豆のタンパク粉末と海藻成分を含んだペースト材料を充填したシリンジポンプをFFF方式の3Dプリンタに取り付け、ノズルからペース材料を吐出して、本物の鶏肉に似た質感を持つ3Dプリント「肉」を成形。

肉の代用品を想定し生成された3Dプリント製の「肉」は、食感こそ肉に近づいたが、まだ動物の肉の味を再現できていない。しかし、動物の肉の味を再現するための技術はここ数年で飛躍的に開発が進んでおり、近い将来、本物の動物の肉と同じ味と食感を忠実に再現できるとしている。

人口の増加に伴い、肉に対する欲求は世界的にも高まっているが、動物の飼育や肉の輸送や貯蔵により排出される環境汚染物質の量は、環境問題の一つと考えられている。

また、植物由来の人工肉を製造・開発するアメリカの食品会社「Beyond Meat(ビヨンド・ミート)」や、肉を一切使わない植物性合成肉ハンバーガー店「Impossible Burger(インポッシブル・バーガー)」のような企業の成功例は、挽肉を使用するバーガーやタコスが、挽肉の代替となる合成肉に置き換わる事が可能であることを示している。


100グラムの3Dプリント「肉」を作るのに要する時間は30~50分

シオンティ氏は、環境への影響を減らし、世界の栄養事情を改善することを目的に、容易に入手できる米やエンドウ豆タンパク質とアミノ酸を材料として選択。現時点ではこの代替肉100グラムをプリントするのに€2のコストが掛かるが、将来的に生産量が増えれば、当然この価格が大幅に下がると期待している。
またシオンティ氏は、この3Dプリント技術に関する特許を申請。地元地域のシェフと協力し、低コストで短時間に生成可能な3Dプリント食品を開発し、2017年10月に彼の発明品を販売するためのスタートアップ「Nova Meat」を立ち上げた。


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