宇宙空間で人間の臓器を3Dプリント

ロシアのバイオテクノロジ研究機関が宇宙空間で人間の微小臓器を3Dプリントする実験を開始した

ロシア最大の民間医療関連企業INVITROによって設立されたバイオテクノロジー研究機関「3D Bioprinting Solutions」は、国際宇宙ステーション(以下 ISS)内の無重力(微小重力)条件下で、人の臓器などをプリントするための実験を開始した。

地球上で怪我や病気で治療が必要になった場合、専門的な医療機関で直ぐに適切な治療を受けることができるが、地球から遠く離れた宇宙空間におけるミッション中では、地球上と同じように適切な治療を受ける事がほぼ不可能に近い。
このような問題に対処するには、宇宙空間で治療に必要な臓器など、交換可能な器官を生成し治療に当たる必要がある。

三次元バイオプリンティング分野におけるバイオ3Dプリンタと関連材料の開発・生産、バイオファブリケーションと医薬品における新しい技術開発を行ロシアのバイオテクノロジー研究機関「3D Bioprinting Solutions」は、2017年にロシアのロケット宇宙産業企業「RSC Energia」と契約し、2018年12月3日に自社開発のバイオ3Dプリンタ「Organaut」をISSに輸送。宇宙空間における臓器などの器官を生成のためのプリント実験を開始した。

実験を担当するロシアの宇宙飛行士Oleg Kononenko氏は、ISSで行われた最初の実験でマウスの甲状腺をプリント。さらに新しいプリント実験で、人間の軟骨細胞6個(培養された組織が含まれるカートリッジ)およびマウスの甲状腺細胞5個、合計12個の組織をプリントした。

現在ISSにて実験中のバイオプリント細胞は、地球上の3D Bioprinting Solutions研究室で培養され、バイオ3Dプリンタ本体と共にISSへ輸送されているが、組織を成熟させるため地球上でバイオプリンティングを行う場合、他のプリント方式同様にサポート(支持構造)が必要となる。しかし、無重力状態でバイオプリンティングされる器官は、サポート構造を必要とせず、細胞材料のみで組織を成熟させることができるため、地球上でプリントするよりもはるかに速く成熟させることができる。

2018年末にISSで実験をスタートした12個の検体は、2019年に地球上へ返送される予定で、宇宙放射線や無重力状態がバイオプリンティングプロセスにどのような影響を与えるかを徹底的に調査し、2019年第1四半期にその詳細を報告する予定となっている。

また3D Bioprinting Solutionsは、宇宙空間におけるバイオ3Dプリンティング実験を、今後5年間に渡って行うことを計画している。

米国カリフォルニアに本拠を置くMade in Spaceは、NASAと協力し、ISS内で使用可能な3Dプリンタを開発するなど、無重力(微小重力)における3Dプリント技術の研究は、今後更に拡大することが予想されている。


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