Formlabsの最新3Dプリンタ「Form 3」レポート第一弾

前モデルを凌ぐ性能を有したFormlabsの最新3Dプリンタ「Form 3」

米国マサチューセッツ州に本社を置く3Dプリンタメーカー Formlabs は、次世代3Dプリント技術「Low Force Stereolithography(以下 LFS)」を採用したプロフェッショナル向け3Dプリンタ「Form 3」をリリースし、2019年11月から日本国内でも販売を開始した。
関連記事:Formlabsの最新3Dプリンタ「Form 3」日本市場で展開開始

本体価格は575,000円(税別)と前モデル「Form 2」よりも多少上がったが、その金額差を埋めるに十分な性能を有している。
Formlabsの3Dプリンタ及び消耗品を販売するid.arts(オンラインショップ)では、今回から数回に渡り「Form 3」を利用した実機レポートを実施する。第一回目となる今回は、Form 3の基本性能のみをお伝えしているが、次回からは使用方法や材料毎の造形プロセスなどを紹介する。

Form 3 の基本性能

LFSテクノロジー

新たに開発された次世代3Dプリント技術「Low Force Stereolithography(以下 LFS)」は、これまでの3Dプリンティング品質を凌駕する造形品質と圧倒的な信頼性を保証。カスタム設計された「Light Processing Unit(LPU)」による鮮明でクリーンなレーザースポットは、積層ピッチ100μでも層間のズレがなく滑らかな表面仕上げが可能となり、造形プラットフォーム全体に均一なプリント品質を提供している。

 

タッチポイントの改善

Form 3では、LFSテクノロジーによって実現した超高精細な造形品質により、モデルとサポート材をつなぐタッチポイントが改善した。一般的にモデル材とサポート材に同一素材を用いる光造形方式の場合、造形後のモデルからサポートを除去する作業負荷が大きく、細かな部位や複雑に入り組んだ箇所で、サポートを切り離す際にモデル自体を破損してしまう場合がある。またサポート除去後に残る跡は後処理の工数を増やすため、既存ユーザーからも改善要求の高い項目となっていた。
Form 3では、こうしたユーザーの声を反映し、従来より小さくなったタッチポイントを実現。Form 3では、Form 2のタッチポイントサイズ0.6mmから0.3mmと半分に減少。これによりサポート除去に関連した課題を改善し、後処理の工数削減を実現している。

改善されたタッチポイントについては、次回の実機レポートにてより詳しく紹介する予定である。

 

透明度の違いから造形精度の高さを確認

Form 3の光学ユニットは、レーザー発振器とミラーが内蔵されたもので、LPUとガルバノミラーの動きを組合せ、レーザーユニット自体を動かしながらビルド平面に対してレーザーを垂直に照射するため、プラットフォーム全体で均一な高精細造形を実現している。
下の写真奥にあるのはForm 2を使用してプリントしたオブジェクトで、手前はForm 3を使用してプリントされた同じデザインの3Dプリントオブジェクトである。いずれも同じ設定値(レイヤーピッチ)と同じ材料(クリアレジン)から造られた物だが、この写真からも分かる通り、同じ条件下でも明らかに透明度が大きく異なる。また僅かだが、エッジの仕上がりにも差を感じられるほど、Form 3の仕上がりの良さを感じれれる。


LFSの優れたプリント性能を示すサンプルのひとつ。Form 2(奥)とForm 3(手前)

これは上述した「LFS」テクノロジーの高精細な出力性能はもちろん、Form 3により最適化されたソフトウェア「PreForm」の性能も影響していると思われ、今後リリースされるファームウェアやソフトウェアのバージョンアップにより、更に精度が向上する事が期待出来る。

 

Form 3用に設計された新しいレジンタンク

樹脂の硬化精度にも影響を及ぼすレジンタンクは、Form 2とは全く異なる仕様のものとなる。LFS用に開発されたForm 3専用のレジンタンクは、底面に柔らかいフレキシブルフィルムを採用。

Form 3用レジンタンク(下)、Form 2用レジンタンク(上)

フィルム下をLPUユニットが移動しレジンが流れ込むことで、余計な力を加えることなくタンクとモデルを剥離。これにより上述したタッチポイントの軽減や粘度の高い樹脂材料の使用が可能になり、より細かな部位の再現性が高まった。

フレキシブルフィルム下を移動するLPUユニット様子

タンク自体の耐久性能に関する詳細は公表されていないが、Form 2用の長寿命レジンタンク「Resin Tank LT」と同程度と言われている。

また今回新たに設計されたForm 3用レジンタンクは、樹種充填後のトレイを保管するための専用ケースに納められており、樹脂材料毎にタンク交換した際の保管に使用することができる。


レジンタンクの保管に最適な専用ケース

 

Form 2と共通利用可能な造形プラットフォームと樹脂材料

造形プラットフォーム(Build Platform)は、前モデルForm 2と同じ物を使用するため、既存のForm 2ユーザーは使用中またはスペアとして保管しているプラットフォームをそのまま活用できる。複数のプラットフォームを用意し、樹脂交換時やプリントジョブ毎に入れ替えることで、3Dプリントワークフローを効率化することもできる。
また、造形プラットフォームに変更がないため、UV硬化専用機「Form Cure」と自動洗浄ツール「Form Wash」を所有するForm 2ユーザーは、継続してそれぞれの機器を使用することができる。
関連記事:Formlabsの後処理ツールForm WashとForm Cureをテスト

Form 3および今後リリース予定の大型機「Form 3L」は、Form 2で使用されてきた樹脂材料カートリッジがそのまま採用されており、Form 2からの乗り換えユーザーも手持ちの材料をそのまま継続して使用できるよう設計されている。

※ 造形プラットフォーム、レジンタンクは消耗品のため、造形品質が低下した際には出来るだけ早いタイミングで交換が必要になる。
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今後の展開について
今回はForm 3の基本的な部分にのみ触れたが、次回以降の投稿記事では、セットアッププロセスから複数の樹脂材料を使用したプリントプロセス、後処理工程などなど更に掘り下げた内容を投稿予定。


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