3Dプリントマスクにお薦めの材料

3Dプリントマスク「PITATT」の制作にお薦めしたい3Dプリント用材料『uDiamond PLA』

先に紹介した3Dプリントマスク「PITATT 3D print mask」シリーズは、商用利用も可能な「CC BY-SA」ライセンスに基づき公開された事で、多く3Dプリントユーザーが製作し、SNSやフリマアプリなどを通じて販売を行っているが、その多くが一般的なPLA樹脂材料を使用して造形されており、仕上がりの精度に大きなバラつきが生じている。
造形物の精度は、材料だけでなくプリンタ自体の性能も大きく影響するが、より質の高い材料を使用することで、かなりの部分を改善することができる。そこで今回の記事では、3Dプリントマスク「PITATT 3D print mask」シリーズに最適な材料を紹介したい。

「PITATT 3D print mask」シリーズに最適な材料『uDiamond PLA』

弊社運営のECサイトでも、3Dプリントマスク「PITATT 3D print mask シリーズ」を製作・販売しているが、弊社では、より高精度な造形に適した材料として、3Dプリンタ用材料専門ショップ 3DFS id.arts で販売中の材料、ナノダイヤモンド配合フィラメント『uDiamond PLA』を使用したモデルを中心に販売している。


uDiamond PLAでプリントしたマスク

ナノダイヤモンド配合フィラメント『uDiamond PLA』は、PLA樹脂にナノダイヤモンド粒子(4-6 nm)を配合したフィラメントで、ナノダイヤモンド粒子とPLA樹脂との静電的な相互作用によって層間接着性が向上し、高剛性、高靱性を有したオブジェクトを高速に3Dプリントすることができる。また、プリント後の造形物は、耐磨耗性および耐衝撃性に優れており、高い耐熱性能も有しているため、高温に弱い従来のPLA材料よりも優れた性能を有している。

0.2mmピッチをベースにuDiamond PLAでプリントしたマスク

層間接着性が非常に優れた「uDiamond PLA」は、その特性を活かし、汎用的なPLA材料よりも高速にプリントすることができる。また、写真のようにサポート構造の取り外しも非常にスムーズに行え、サポートを取り除いた後のバリも少ない。

更に「uDiamond PLA」でプリントされた造形物は加工性に優れている。一般的に、PLA樹脂からプリントされた造形物は表面が非常に硬く、積層跡などを除去するための研磨が難しい。しかし「uDiamond PLA」は、PLAベースでありながら加工性に優れているため、サンドペーパーや「TuneD3」のような専用の研磨材で簡単に積層跡を軽減することができる。


uDiamond PLA ブラックでプリントした PITATT 3D print mask

更に「uDiamond PLA」の材料に配合されるナノダイヤモンド粒子は球状のため、カーボン混合フィラメントなど、他の高強度フィラメント等と違い3Dプリンタノズルを磨耗しない。このため、従来のPLA材料に対応した3Dプリンタでも高精度な造形を実現する。

写真は、Ultimaker の最新機種「Ultimaker S5」を利用した際の様子。Ultimakerは、エンジニアリンググレード3Dプリント用材料に対する需要の高まりを満たすため、2018年4月からサードパーティー製フィラメントの利用に対応したオープンソースフィラメント戦略「Ultimaker Material Alliance Program」を実施しており、今回紹介したナノダイヤ配合のPLAフィラメント「uDiamond PLA」と同じ製品(日本を含むアジア圏では「Carbodeon」ブランドから販売されているが、EU圏内ではTiamet 3Dの「Ultra Diamond」として販売されている)を登録しており、マーケットプレース上からも「Tiamet 3D/Ultra Diamond」として選択が可能になっている。名称の異なる両商品は全く同じ性能のため「Ultra Diamond」の設定情報をそのまま利用し、プリントすることができる。

どんなタイプの3Dプリンタでも安定した高品質造形を実現

 

新型3Dプリントマスク「PITATT Cool」をプリント

5月17日、新たに追加ラインアップされた新型マスク「PITATT Cool」を、「uDiamond PLA」を使いプリントしてみたが、非常に優れた仕上がりになっているのが確認できる。

 

その他のPPEをプリント

上述した「PITATT 3D print mask」だけでなく「uDiamond PLA」でプリントしたフェイスシールドについても紹介したい。

写真左は、先日スワニーから無償公開されたフェイスシールドデータを使用した物で、3つに分割してプリントされたパーツを組みてることで、同社の量産タイプ「作業用フェイスシールド」と同等のフェイスシールドを誰でも手にすることができる。
関連記事:スワニー、フェイスシールドの3Dプリント用データを無償公開

写真右は、id.arts が参加する3Dプリント製フェイスシールド無償提供プロジェクト「3D PRINT FACE SHIELD」で公開中のデータのひとつをプリントした物だが、どちらのモデルも非常に高精度にプリントできていることが確認できる。

 

3D PRINT FACE SHIELD について

現在 id.arts では、医療機関、消防・防災関連機関、福祉施設、教育機関を対象に、3Dプリント製フェイスシールドの無償提供を行っています。フェイスシールドを必要する対象施設・機関の関係者の方は、下記の応募フォームよりお申込みください。
https://idarts.co.jp/3dp/3d-print-face-shield/

 

PPEに最適な抗菌作用フィラメント『PLACTIVE AN1』

Copper3D社製のフィラメント「PLACTIVE AN1」は、ナノダイヤモンド配合フィラメント『uDiamond PLA』同様、3Dプリンタ用材料専門ショップ 3DFS id.arts で販売中のフィラメントで、チリおよびアメリカの2つの微生物学研究所で確認された抗菌特性を有しており、黄色ブドウ球菌(MRSA)および大腸菌(DH5α)を最初の6時間で95%まで低下させ、 その後8~24時間で99.99%を除去することができる優れた抗菌性能を有している。

プリント設定値は汎用的なPLA材料と同じなため、3Dプリンタ初心者でも扱いやすい材料となっている。優れた抗菌性能を有した「PLACTIVE AN1」は、マスクやフェイスシールドなどの個人用防護具(PPE)製造に最も適した材料のひとつである。

写真奥 PLACTIVE AN1 で造った PITATT Cool

また、PLACTIVE AN1 はその抗菌特性を活かし、授乳中の乳児を守るため、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)を効果的に不活性化できる3Dプリントデバイスの研究開発などにも活用されている。
関連記事:3Dプリント技術を使用して授乳中にHIVウイルスを不活性化

 

何れも安価なPLA材料と比べると高価な材料だが、その優れた材料特性は、今回紹介したようなPPEだけでなく、様々な目的や用途に適した造形品に適用することができる。


関連記事

3DP id.arts の最新投稿をお届けする「Newsletter 3DP id.arts」への登録はこちら

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でid.artsをフォローしよう!

     

ページ上部へ戻る