3Dプリント技術を使用して授乳中にHIVウイルスを不活性化

Copper3Dの抗菌フィラメント製デバイスが、授乳中の乳児をHIV感染から守る

チリと米国に本拠を置く3Dプリンタ用材料メーカー Copper3D は、独自の銅ナノテクノロジーを使用して、PLAやTPUなどのポリマーに抗菌特性を追加し、様々な抗菌3Dプリントオブジェクトを開発。同社は新たなプロジェクトの一環として、特定のオブジェクトの適切な条件下において、HIV(Human Immunodeficiency Virus)ヒト免疫不全ウイルスを効果的に不活性化できる3Dプリントデバイスを開発した。

ユニセフによれば、2017年までにHIVに感染した子供(青少年)の数は300万人に達し、43万人が新たに感染し、13万人がAIDS(Acquired Immunodeficiency Syndrome)後天性免疫不全症候群が原因で死亡している。またUNAIDS(国際連合エイズ合同計画)の報告によると、2018年までにHIVに感染した14歳以下の子供の内、26,000人が妊娠中および授乳中に感染したという。
世界保健機関の報告では、2018年現在で世界中のHIV感染者は3790万人に達し、そのうち810万人が自分がHIVに感染していることすら知らなかったとされている。

 

2018年世界のエイズの状況(UNAIDS公開資料より)

  • 3,790万人(3,270万-4,400万人)がHIVとともに生きている
  • 2,330万人(2,050万-2,430万人)が抗HIV治療を受けている
  • 170万人(140万-230万人)が新たにHIVに感染した
  • 770,000人(570,000-110万人)がエイズに関連する疾病により死亡した
  • 7,490万人(5,830万-9,810万人)が感染の流行が始まって以来HIVに感染した
  • 3,200万人(2,360万-4,380万人)が感染の流行が始まって以来エイズに関連する疾病により死亡した

Copper3DのメディカルディレクターであるClaudio Soto博士は、HIVの母子感染を防ぐためBreastmilk Shieldの「Viral Inactivation System」と呼ばれるプロジェクト(特許出願済)に取り組んでいる。チームはまず、HIVに感染した母乳のサンプルを使用して「Copper3D PLACTIVE」材料のウイルス不活化効果をテスト。第二に、HIVウイルスの伝播を抑えるために抗菌材料が果たす役割を分析し、主な感染経路の1つである母乳によるウイルスの拡散を防ぐために母子間を繋ぐデバイスを設計した。


ウイルス不活性化因子の3Dモデル(特許出願中)

Copper3Dの研究チームは、Copper3D PLACTIVE材料のHIVウイルス不活性化能力を検証するため、チリのウイルス学研究所に実験を委託。HIVウイルス不活化を最適化するため設計されたオブジェクトは銅ナノ粒子を含む材料から3Dプリントされ、当初テストされた内容から接触面を10倍に増やすことで、わずか5秒以内で100%に近い不活性化率を得ることができることを確認した。

材料に含まれる銅イオンはウィルスのリン脂質細胞膜を非特異的に分解し、その核酸を変性させる。ただし、毒性のレベルや母乳の栄養劣化、ウィルスの不活化時間など、フィルターの最適なサイズや形状に関する問題は今後の課題となっている。


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