MTUの研究チームが3Dプリント時に発生するエラーを検出し自動補正するアルゴリズムを開発
ミシガン工科大学(Michigan Technological University/MTU)の Joshua Pearce 博士と Aliaksei Petsiuk 博士の2人の研究者は、3Dプリント時に発生する印刷不良の検出と修正が可能な、オープンソースのコンピュータビジョンベースのソフトウェアアルゴリズムを開発した。
FFF/FDM方式の3Dプリントシステムに焦点を当てたこのアルゴリズムは、ビルドプレートに向けられた1台のカメラを利用して、3Dプリント部品の外側や内側に現れるプリントエラーをレイヤーごとに追跡。システムは、プリント成功率を向上させるために必要と思われるプリンタアクションを生成する機能を備えており、エラーによって生じる無駄なプリント時間の削減と、フィラメントを節約するよう設計されている。
このソフトウェアアルゴリズムでは、プリントベッド上に視覚的なマーカープレートを置き、押し出しが行われる前に3次元モデルがプリントされる範囲を正確に示し、STLファイル(3Dプリント用データ)からデジタルコピーを生成し、その座標をビルドチャンバー内の座標にマッピングする。つまり、ARのように3次元モデルのデジタルコピーを実空間上に生成し、プリント中のデータと比較する際の基準点として使用する。
3Dプリンタのプリント準備が整うと比較対象となるデータがシステムに送られ、デジタルコピーから各レイヤー毎に解析用投影平面を生成し、対象物を比較しながらレイヤーの高さとレイヤー番号に応じて、各ステップでノズルの位置を正確に追跡。
この高度に数値化された画像処理技術を使用したアルゴリズムは、カメラからの画像とSTLファイルの既知のパラメータに基づき、オブジェクトの輪郭とテクスチャパッチをセグメント化。シェルとインフィルの両方に含まれる比較対象データを元に、関連するプリントパラメータを自動修正するという。
またプリント後には、プリントプロセス全体で用いられた画像(カメラによって撮影されたレイヤー画像)のレイヤーセットを入手することもできるため、体積分析なども可能となる。
Delta RepRap 3DプリンタとPLAフィラメントを使用した初期テストにおいて、有望な結果を示したこのアルゴリズムは、突出不足または突出過多によるエラーを一貫して検出することができるが、補正機能を含めたメカニズムにはまだまだ改良の余地があるとされているが、研究者等は近い将来、完全なエラー補正アルゴリズムを実装させることができるだろうと述べている。
この研究内容の詳細は「Open source computer vision-based layer-wise 3D printing analysis」と題された論文に掲載されている。
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