骨格筋の損傷を治療する携帯型3Dバイオプリンタ

コネチカット大学の研究グループ、筋骨格系外科手術に役立つ携帯型3Dバイオプリンタを開発

米国コネチカット州の州立大学コネチカット大学の准教授であるAli Tamayol博士によって開発されたこのバイオプリンタは、外科医がハイドロゲル(細胞や組織の成長をサポートする材料)ベースの足場を、骨格筋の弱った部分に直接堆積させることを可能にする技術で、標準的な再建手術では不十分な場合に、容積測定による筋肉減少(VML)の治療に使用できる可能性を示している。

VMLは、外傷性または外科的な骨格筋の欠損とそれに伴う機能障害とされているが、VMLにおける骨格筋欠損の状態は患者毎に異なるため、従来の再建手術はVMLの治療に不十分なプロセスであると説明。その代わりとして研究者等は、3Dプリントシステムを使用して、欠損部位の形状に合わせた足場の作製が可能な技術として、3Dプリントの使用を提案している。
この携帯型3Dバイオプリンタは、高度なイメージングやプリントシステムを必要とせず、臨床医が患者の体内で直接足場をプリントできる新世代の3Dプリンタである。

研究等は、現状の課題を解決するため、3Dバイオプリンティングしたゼラチンベースのハイドロゲルを欠損部に直接埋め込み、携帯型3Dバイオプリンタを使用してその場で架橋することを提案。研究者等によれば、これらの携帯型3Dプリンタは押出し式で、従来の固定式3Dプリンタの物理的な限界を克服して、損傷部位のターゲットとなる平らでない表面にも直接プリントできる。またこの3Dプリンタは操縦が容易で、さまざまな種類のバイオインクを使用して、高度に定義されたアーキテクチャを作成するために使用することができる。
さらに研究者等によれば、VML損傷のためのゼラチンメタクリロイル(GelMA)などの光架橋可能なヒドロゲルを、その場ですぐにプリント可能であるという。GelMAはコラーゲン由来の生体材料であり、ネイティブ骨格筋の細胞外マトリックス(ECM)を忠実に模倣している。

GelMAは生体組織に付着するため、生体接着剤として使用することができるが、既存のバイオプリンティング技術は、被験者の欠損部位に接着するヒドロゲルベースの足場の作製には成功していないが、研究者等はハイドロゲルベースのバイオインクを使用することで、この溶液が骨格筋の欠陥部位に付着することが効果的であることを証明し、ハイドロゲルベースの足場移植の限界を克服。このプロセスをテストするため研究者等は、VML損傷を受けたマウスの欠損部位にハイドロゲル足場を直接プリントし、周囲の組織に適切な接着性を示して筋細胞の増加と成長を促進した。

この研究は現在試験の初期段階にあり、共著者であるハーバード大学ブリガム・アンド・ウィメンズ病院の形成外科医Tamayol氏とIndranil Sinha氏が、筋骨格系の損傷の治療のためにこの技術に関する特許を申請している。


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