3Dプリント造形用プラスチックの認証

UL、安全性が要求される3Dプリントポリマーの認証ガイドラインを発行

米国イリノイ州に本拠を置く、試験、検査および認証を行う世界的認証企業のひとつ Underwriters Laboratories(以下 UL)は、安全性に重要な3Dプリントポリマーの性能特性に与える影響に関する独自の調査結果を発表。この調査結果によりULの規格グループは、材料を評価・認証するためのフレームワークを開発することが可能となり、サプライチェーン全体のAdditive Manufacturing(以下 AM)製造事業者が、より確実に高品質で高性能な部品を提供できるようになる。

今回の調査では、3Dプリントされた部品と射出成形された部品のサンプルを比較。両タイプの部品を利用して、燃焼性、発火性、電気的特性を調べるための試験を実施。この試験は、異なる2つの製造方法を用いて製造された同じポリマー材料にも性能特性にバラつきがあるかどうかを調べたるために実施された。試験の結果、2つのサンプルグループには安全性と性能に大きなバラつきがあり、従来の製造プロセス用に設定された性能評価は、同じ種類の材料を使用しても3Dプリント製品には適用できないという結論に至った。
そこでULは、3Dプリント用プラスチック、特にFDM/FFF方式の3Dプリントを対象とした認証プログラム「UL Blue Card(以下 ブルーカード)」を策定。この認証プログラムは、3Dプリンティング材料の性能保証を必要とする顧客が公開データを使用できるようにするULサービスで、コンポーネントまたは最終製品の製造業者が、試験されて認証を取得し、独立系の試験所によって定期的に監視されている材料を使用していることを保証するものとなる。

ブルーカードは、3Dプリント用の材料が「UL RECOGNIZED・コンポーネントマーク」を取得した場合にのみ自動的に発行される。ブルーカードは、特定の3Dプリンタに対して発行されることで、3Dプリンタメーカーはそのマシン用材料を認証することができるようになり、認証を取得した材料は「UL iQTM」およびULの「Prospector®」データベースに登録される。

ブルーカードプログラムは、材料が以下の3Dプリントテクノロジーのいずれかを使って処理された場合に適用される(ULサイトより引用)

  • 材料押出
  • 粉末床溶融結合システム
  • VAT重合
  • 材料噴射
  • 結合剤噴射
  • シート積層
  • 指向性エネルギー堆積

ブルーカードには、以下も含まれる。

  • 材料処理で使われる3Dプリントテクノロジーに関する情報
  • 3Dプリントモデルの指定
  • テクノロジー固有の試験検体製造パラメーター(材料押出テクノロジーのためのビルド面、ラスタ角、エアギャップなど)
  • 適切な規格に基づいて試験される複数の安全および性能関連の特性定格

ULは「今回の調査結果は、3Dプリンティング用ポリマー材料の認証ガイドラインを作成するために必要な予備知識を提供するものであり、要求事項の起草のための指針となります。これにより初めて3Dプリント部品と従来の射出成形品や押出成形品との性能のギャップに対処できるようになりました。」と述べている。

製品メーカーは、UL CERTIFIEDのプラスチックを使用して3Dプリントすることで、最終製品またはシステムの認証取得プロセスに必要な時間と費用を節約することができるようになる。

またULは先週、ISOとASTMのAM規格を開発するための枠組みを構築することを目的として、ASTM Internationalと覚書(MoU)を締結した。


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