デスクトップ型3Dプリンタ「Ultimaker S5」レビュー(PR)

Ultimakerの最新モデル準産業グレード3Dプリンタ『Ultimaker S5』実機レビュー

2011年に設立され、欧州を中心に高い評価を受けるオランダの3Dプリンタメーカー Ultimaker は、2018年にUltimakerシリーズの最新モデルとして『Ultimaker S5』をリリース。同社従来機種よりも拡大された造形エリアと洗練されたデュアルエクストルーダーシステム、オープンフィラメントプログラムなどの組み合わせにより、 迅速なプロトタイピングはもちろん、オンデマンドのツーリングから最終用途部品の作成まで、産業グレードの造形品質と生産性を提供する同社最新モデルとして、自動車メーカー大手Audiや航空産業大手エアバスオランダ王立空軍などにも採用されている。


デザイン・機能が刷新されたUltimakerの最新モデル「S5」

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空軍基地内でUltimaker S5を利用するオランダ王立空軍

今回、id.arts(アイディーアーツ株式会社)では、Ultimakerの前モデルを利用してきた経験を活かし、新たに導入した「Ultimaker S5」に関する実機レポートを紹介する。第一弾となる本記事では、Ultimaker S5の基本的な性能やPVA(水溶性サポート材)を用いたテストプリントの様子などを紹介する。 

Ultimaker S5 パッケージ内容

Ultimaker S5の使用に当たっては、同梱される日本語マニュアル(同梱のクイックスタートガイドは英語のみ)上に、開封から初期セットアップまで詳しく記載されているため、その内容に沿って順番に作業を行えば、3Dプリンタ初心者でも簡単に必要なセットアップを完了することができる。

付属品
Ultimaker S5の基本パッケージには、購入後から直ぐに3Dプリントを実行するために必要な付属品だけでなく、定期的なメンテナンスに必要なツール類も含まれているため、余計な物を買い足す必要がない。

  • ガラスビルドプレート
  • スプールヘッダ(材料ガイド付き)
  • 電源ケーブル
  • イーサネットケーブル
  • USBメモリー
  • Print Core AA 0.4(インストール済みを含む2つのPrint Core)
  • Print Core BB 0.4
  • XYキャリブレーションシート–ガラスビルドプレート
  • キャリブレーションカード
  • ノズルカバー(x3)
  • Tough PLA フィラメント 750g
  • PVA フィラメント 750g
  • スティックのり
  • オイル
  • グリース
  • 2mm六角ドライバー

前モデルから飛躍的に向上した基本性能

前モデルである「Ultimaker 3」シリーズと比較して洗練された筐体デザインは、より剛性が増しただけでなく、フィラメントのローディング機能などを含む基本性能が大幅に向上。信頼性向上のため新たに設計されたデュアルエクストルーダーを備えたUltimaker S5に搭載されるレベリング機能は、第一層からのプリント品質を保証し、前モデルから大幅に改善されたフィラメントフローセンサーが、プリントジョブをリアルタイムにモニタリング。材料ロードが停止した場合やフィラメント切れに近づいた際に機能する自動警告や、フィラメントがマシンにロードされる際にプリンタの設定を調整するスマートスプールホルダーを搭載。

 

洗練された筐体デザイン

ビルドボリュームは、Ultimaker 3の215x215x200mmから拡張された330x240x300mmを有し、大型部品を必要とするプロフェッショナルな現場での使用にも対応。
LED照明によって照らさせるマシン内部は明るく洗練されており、クリーニングなどメンテナンス性に優れているのが分かる。また、内蔵に設置されたカメラは、Ultimakerソフトウェアまたはアプリを利用してプリントプロセスをリアルタイムで監視することができる。

本体前面に設置された観音開きのガラスドア

本体に搭載されるタッチスクリーンパネルは完全に日本語化されたため、英語を苦手とするユーザーでもプリント前後工程で必要な設定や、プリントジョブ管理がより正確に実行できるようになった。

プロセスの全てを管理可能なタッチスクリーンパネルは日本語に対応

 

手間いらずなセットアッププロセス

同梱されるマニュアルは複数のセクションに分かれて記載されており、保護されたパッケージから本体を取り出す方法から始まり、ボーデンチューブやスプールホルダー、NFCソケットの取り付けとケーブルの接続、ガラスプレートの設置、PrintCoreの取り付けなど、基本となるセットアップ作業から定期的なメンテナンス方法、エラーへの対処方法まで細かく掲載されている。
このマニュアルに沿って実施したハードウェアセットアップの後は、本体とパソコンの接続(更新されたファームウェアがあれば合わせて実行)とPrintCuraのインストールを行い、本体タッチスクリーンパネルの指示内容に従って材料をロードすれば、いつでも3Dプリントを開始することができるようになる。

 

フィーダー性能の向上

Ultimaker S5に搭載される「フィーダー(材料を送る部分)」は、これまでのUltimakerシリーズから改良された優れた機能を有しており、ユーザーにとってストレスを感じやすい材料のロード/アンロードに関連するエラーが大幅に減少。

軽量化されたプリントヘッドにはフィーダーギアの長期摩耗を防ぐため超硬質コーティングを追加。再設計されたシリコンノズルカバーにより、より安定したエアフローと効率的な材料スループットを実現。TPUのような柔軟な素材でもプリントを容易にしている。


Ultimaker 3から継承されるメンテナンス性に優れたヘッド周り

テストプリント

セットアップを終えたUltimaker S5のプリント品質を確認するため、本体に同梱されている純正材料「Ultimaker Tough PLA」を使用したテストプリントを実施。「Ultimaker Tough PLA」は、機能的なプロトタイプおよびカスタムツールや治工具向けに最適化された材料で、ABS同様の衝撃強度とさらに高い剛性を提供する。
今回実施した最初のテストプリントでは、複数のベンチマークモデルをプリント。Curaの設定はデフォルト推奨値のままプリントしているが、プリント後の造形物表面は十分に満足できる精度で仕上がっている。

PVAを使用したテストプリント

Ultimaker 3シリーズから継承されるデュアルヘッドシステムは、Tough PLAなどのモデル材料とPVA(水溶性のサポート材料)を使用して、複雑な形状を持つさまざまなオブジェクトの制作ができる。
下図は、シングルノズル(Tough PLA)でプリントしたパイプ状の造形物だが、プリント中に構造物を支える内部サポート構造が必要となるため、プリント後に複雑な形状内部からサポートを取り除くことが困難になる。

PLA単体ではパイプ内部にサポート構造が残り、造形後の除去が困難になる

下図は、上述と同じモデルに対し、本体に同梱されている水溶性PVA材料を適用してプリントした物だが、パイプ内部のサポート構造がPVAで構築されるため、プリント後の造形物をそのまま水に浸すだけで簡単にサポートを除去することができる。

内部にプリントされたPVAサポート構造

 

PVAサポート除去について

1. 造形物を水に浸す
PVAを使った造形物は、水または温水に浸すだけで簡単に除去することができるため、複雑な形状やサポート除去時に壊れやすい形状のプリントにてきしている。
常温水の使用で問題はないが、温水を使用し、水をかき混ぜたりすることでより短時間で溶かすことができる。ただし、モデル材にPLAを適用している場合、50℃以上の温水でPLAが変形する可能性があるため、35℃を超える温水の使用は避けた方が良い。また、手やプライヤーなどの工具類を用いて予め除去可能なサポート構造を浸水前に取り除くことでより短時間で溶解させることができる。

2. 水洗い~乾燥
PVA材が完全に溶けた造形物を水洗いし、表面に残った僅かなPVA材を取り除く。除去後はしっかりと乾燥させ、必要に応じて後処理等を行う。

溶解中のPVA

PVA除去後の状態
下図左は内部にあったPVAが溶け出しパイプとして機能するが、PVAを使用していない右のモデルは、入り組んだ内部に残るサポート構造を取り除くことができない。

汚水の処分方法について
PVAは生分解性のため、特別な処理方法を必要とせず、使用する環境に適用されている廃棄物処理などの方法に準拠して廃棄することができる。一般的な排水を行う際は、排水経路でPVAが詰まらないよう熱水を30秒以上流すことが推奨されている。

ミドルレンジクラスの3Dプリンタでは珍しくなくなったデュアルヘッドシステムによるPVAサポートの利用だが、PVAは材料の特性上扱いが難しく、機種によっては望むようなプリント結果を示さない物も少なくないが、Ultimaker S5とPVAの愛称は良く、ビルドプレートへの定着性も優れている。

「Cura」ソフトウェア

すべてのUltimaker製品とのシームレスに統合されたワークフローを実現するオープンソースの3Dプリンタスライスソフトウェア「Cura(2019年10月現在の最新バージョン 4.3.0)」は、Ultimaker S5の機能をフルサポートしており、長時間に及ぶテストを経た推奨プロファイルにより設定調整等の操作を軽減。より細かな設定を望む上級ユーザーは「カスタムモード」を利用して400以上の設定項目から詳細なコントロールができるようになっている。
また、3Dプリンタ管理用に設計されたプラットフォーム「Cura Connect」を利用することで、ユーザーはネットワーク経由で複数のプリントジョブを管理したり、プリント中の様子をリアルタイムでモニタリングすること可能。

Ultimakerは、Ultimaker S5のリリースとほぼ同時期に最新のモバイル用アプリをリリース。これによりユーザーは、プリントの進捗状況をモバイル端末からリモートで監視し、3Dプリンタのメンテナンス等が必要となった際に、直ちにユーザーへ通知を行うことができる。

 

オープンソースフィラメントへの対応

様々な純正フィラメントを提供しているUltimakerは、エンジニアリンググレードフィラメントに対する需要の高まりを満たすため、2018年4月からサードパーティ製フィラメントの利用に対応したオープンソースフィラメント戦略「Ultimaker Material Alliance Program」を実施。エンジニアリング特性を持つサードパーティ製フィラメントの使用に取り組むためUltimakerは、BASF、DuPont、DSM、Owens Corning、Clariantなどの主要な材料メーカーと提携。「Cura」ソフトウェアおよびUltimakerハードウェア向けに最適化された独自の3Dプリントプロファイルを開発。各材料に適したプロファイルをマーケットプレイスを介して提供している。

「Ultimaker Material Alliance Program」に関する詳細については、こちらの記事にて詳しく解説している。

 

まとめ

プロフェッショナル3Dプリンティングソリューションを提供する「Ultimaker S5」は、大きな造形領域、効率的で直感的な操作性、多種多様な産業グレード材料に対応したマテリアル性能、欧州を中心に長年に渡り利用されてきた信頼性など、デザイナーやエンジニアなど、プロシューマーに最適化された一台であり、ラピッドプロトタイピングはもちろん、最終用途部品となるオンデマンド製造向けに様々な3Dプリンティングアプリケーションを提供する。

Ultimaker S5 Pro Bundle

またUltimakerは2019年秋、工業用途などに特化した統合されたフィラメント管理ソリューション「Material Station(マテリアルステーション)」と、超微粒子(UFP)を最大95%除去するエアーフローを提供する「Air Manager(エアーマネージャー)」を追加ラインアップ。小規模工場やオフィス内で安全に連続プリント可能な3Dプリンティングワークフローを実現するこのシステムは、生産性、柔軟性、信頼性を高め、カスタムワンオフ製品や交換部品、少量バッチ生産をなどの用途に特化したアプリケーションを提供することができるようになる。


マテリアルステーションとエアーマネジャーを実装した新たなプリントシステム「Ultimaker S5 Pro Bundle」

 

Ultimaker S5 基本スペック

  • ビルドボリューム: 330mm×240×300mm(XYZ)
  • フィラメント直径:2.85mm
  • レイヤー解像度:150~60ミクロン(0.25mmノズル)、200~20ミクロン(0.4mmノズル)、600~20ミクロン(0.8mmノズル)
  • XYZ精度:6.9、6.9、2.5ミクロン
  • ノズル温度:180〜280℃
  • ノズルの加熱時間:2分
  • ビルドプレート温度:20~140℃
  • ビルドアッププレートの加熱時間:4分(20〜60℃)
  • 対応材料: PLA、Tough PLA、Nylon、ABS、CPE、CPE+、PC、TPU 95A、PP、PVA、Breakaway(サポート材)
  • 本体サイズ: 495mm×457×520mm
  • 本体重量:20.6kg
  • 接続:WiーFi、LAN、USB
  • 価格:899,800円(税別)
  • 国内代理店:BRULE

Ultimaker S5 を1ヶ月無料で貸し出す体験型プログラム

様々な3Dプリンタ及び関連ツールを販売する BRULÉ, Inc.(ブルレー)は、Ultimakerの最新機種『Ultimaker S5』を、一ヶ月間無料で貸し出す体験型プログラム「ローナープログラム(一ヶ月無料体験プログラム)」を実施している。
ローナープログラムの詳細、申込み方法はこちら
https://idarts.co.jp/3dp/brule-ultimaker-s5-loaner-program/


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