3Dプリンタから放出される有毒粒子を特定する研究

米国研究機関が3Dプリンタから放出される有害物質と健康リスクに関する研究内容を発表

ジョージア工科大学(Georgia Institute of Technology)と化学物質の安全性を研究する非営利団体「UL Chemical Safety」の研究チームは、デスクトップタイプ3Dプリンタが室内の空気品質にどのように影響するかについて、2年間の調査を実施。調査の結果、3Dプリント中に放出された化合物には、人体に有害な物質が含まれることを発表した。

研究チームは、最も一般的に使用されているフィラメントの2つである「ABS」と「PLA」を使用したデスクトップタイプのFDM(FFF)方式3Dプリンタが、稼働中に200種類以上の揮発性有機化合物(VOC)を放出していることを特定。見つかった200種類以上の粒子の90%以上が直径0.1ミクロン未満のナノ粒子サイズであり、これらの超微粒子の中には、既知の発癌物質であるホルムアルデヒドやスチレンやカプロラクタムなどの刺激物質を含む、揮発性有機化合物が含まれており、十分な換気が行われていない屋内で可動させた場合、人体に吸入された有害物質が、肺の深部にある組織および細胞に入り込み、心臓血管および肺など、呼吸器系などに問題を引き起こす可能性があることを指摘した。

超微粒子(UFP)の発生原因には、ノズルの温度、フィラメントの種類、フィラメントとプリンタのブランド、フィラメント色など、有害な粒子を生成する要因は様々であるが、最も重要な原因の1つが「フィラメントの温度」であることを発見した。ABS樹脂のように、より高い温度の溶融が必要なフィラメントを使用した場合、より低い温度で溶融するPLAよりも、多くの微粒子が生成されていた。

ABS樹脂に含まれる発癌性物質の問題は以前から提起されていたが、健康への影響についてより詳細な結果を見出すには、更なる長期的な研究が必要となる。また、潜在的なリスクを回避する方法として研究チームは、以下の点を考慮すべきとしている。

  • 換気設備の整った場所でのみ3Dプリンタを操作する
  • フィラメントメーカーが推奨する温度範囲の最も低い温度にノズル温度を設定する
  • 稼働中の3Dプリンタに近づかない
  • 有害物質に対するリスクが低いことを証明した、高性能なフィラメント及び3Dプリンタを使用する

低コストでコンパクトなデスクトップタイプ3Dプリンタは、学校等の教育機関への普及も進んでいるが、最も敏感な児童に対する有害物質への影響を最小限に抑えるためには、特別な注意を払う必要がある。

また研究チームは、化学物質の排出が健康に及ぼす影響を十分に理解し、個々人の感度を考慮した完全なリスクアセスメントが必要であるとし、3Dプリンタや材料を提供するメーカーが、ユーザーへの安全対策として、更なる研究や製品の改良に投資をすべきであると提唱している。

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