高度にカスタマイズ可能な3Dプリント用複合フィラメントの製造に関する新たなプロセスを開発
スペインのセビリア大学の研究チームは、FFF方式の3Dプリントプロセス用として高度にカスタマイズ可能な複合フィラメントを製造する新しい方法を開発した。
このプロセスでは、シングルスクリューのデスクトップ型押出機を使用して、磁性添加剤を充填したペレットに類似したポリマーカプセルから、均一な添加剤分布と優れたプリント特性を持つカスタム複合フィラメントを調製することができる。
3Dプリント用材料であるフィラメントは、一般に添加剤でさらに機能化することができるが、ポリマーフィラメントの場合、高度に均一な添加剤分散を達成することは、均質性を著しく向上させ、材料全体の機械的特性を最大化することができる。
PLAマトリックス内の磁性鋼
研究チームは最初研究工程で、新しい粒子充填カプセルを調合するため、標準的な市販のPLAペレットを使用して、空のオープンカプセルのグリッド(製氷トレイのような物)を3Dプリント。その後、各カプセルに軟磁性マレージング鋼の粉末を充填した後、上部をPLAの蓋で閉じアセトンで密閉。その結果、高度にカスタマイズ可能な磁性粉が充填されたPLAポッドのセットが完成した。
このカプセルは完全に密閉されているため、磁性添加剤が押出機の特定の箇所に滞積されるリスクがなくなり、一体型のPLAポッドが押出機の溶融部に到達し、プロセス全体を通してフィラーの濃度を維持することが可能となる。
プロセスを経て得られたフィラメントのX線トモグラフィーによれば、このアプローチにより、均一な磁性粉分布を持つ滑らかで連続的な複合材料が得られたことが明らかになった。研究チームはこの方法の主な利点の一つとして、比較的低コストのシングルスクリュー押出機で1回の押出し作業のみが必要であるとしている。工業的な資源がないにも関わらずチームは、予測可能で再現性のあるフィラメント組成物を作成することに成功。今後この研究を、他の高分子マトリックスや添加剤にも広げていきたいと考えている。
PLAマトリックス内の鋼の均一な分布を示すX線トモグラフィー Photo : University of Seville
この研究の詳細は「Novel procedure for laboratory scale production of composite functional filaments for additive manufacturing」と題された論文に掲載されている。
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