カスタムメイド可能な医療機器3Dプリント技術

ノッティンガム大学、様々な用途に応じた医療機器をカスタムメイド可能な3Dプリント技術を開発

英国ノッティンガム大学の研究チームは、新たな3Dプリントプロセスを用いて、形状や耐久性を向上させると同時に細菌感染のリスクを低減する機能を内蔵した人工ボディパーツや、その他の医療機器をカスタムオーダーメイドできる革新的な3Dプリント方法を開発した。

この革新的な3Dプリントプロセスは、カスタマイズ可能な形状や機能を必要とするあらゆる医療機器の3Dプリントに応用できると期待されている。例えば、失われた指や脚の代わりに、患者に適したフィット感や快適性、耐久性を向上させることが可能な、高度にカスタマイズされた一体型の義肢や関節を作製したり、複数の薬剤を含むカスタマイズされた錠剤(ポリピルと呼ばれる)をプリントし、あらかじめ設計された治療順序で体内に薬剤を放出するように最適化した治療方法を提供することが可能になる。

本研究の責任者である「Centre for Additive Manufacturing(CfAM)」のYinfeng He博士は次のように述べている。「大量生産される医療機器の多くは、ユーザー固有の複雑なニーズを完全に満たすことができていません。同様に、単一素材の3Dプリント方法には設計上の限界があり、複数の生物学的または機械的機能を持つオーダーメイドのデバイスを製造することができません。しかし、コンピュータ支援型のマルチマテリアル3Dプリント技術を用いることで、複雑な機能を1つのカスタマイズされた医療機器に組み込み、患者の健康を増進することが可能であることを初めて実証しました。」
世界では、先進国を中心に高齢化が進んでおり、将来的に医療機器の需要が更に高まると考えられているが、この技術を利用することで、高齢者の健康と福祉を向上させ、政府の財政負担を軽減することが期待できるとしている。

この研究では、独自のコンピューターアルゴリズムを用いて、細菌バイオフィルムの蓄積を防ぐことができる硬さの異なる2つのポリマー素材を用いた3Dプリントオブジェクトをピクセル単位で設計・製造可能で、剛性を最適化することで、必要な柔軟性と強度を備えたカスタムメイドの形状・サイズを有した部品を作製することに成功。
例えば、既存の人工指関節は、シリコンと金属部品から構成されており、必要な機能を有しながら骨に埋め込むための剛性を確保している。今回の研究では、これらの2つの要件を1つのデバイスで実現することが可能で、さらに、患者の要望に応じたサイズや強度をカスタマイズできる指関節の3Dプリントにも成功した。
この新しい3Dプリント技術は、バクテリアに強く、生体機能を備えたマルチマテリアルを用いて実行することが可能なため、抗生物質を追加することなく、移植後の感染症に対処することができる。さらに研究チームは、新しい高解像度特性評価技術を用いて、プリント構造の化学的性質を3Dマッピングし、パーツ全体の構造間の結合状態を調査。その結果、非常に小さなスケールで2つの材料が界面で混ざり合っていることを確認。これは非常に良好な結合の証であり、より優れたデバイスが壊れにくいことを意味している。

この研究は、Engineering and Physical Sciences Research Council(工学・物理科学研究評議会)からの資金提供を受け、Centre for Additive Manufacturing(CfAM)が実施。研究チームはこの技術を商品化する前に、免疫反応の制御や幹細胞の付着促進などの機能を備えた、より高度な素材で実験を行い、その用途を広げることを計画している。


関連記事

3DP id.arts の最新投稿をお届けする「Newsletter 3DP id.arts」への登録はこちら

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でid.artsをフォローしよう!

     

ページ上部へ戻る