3Dプリント技術を用いた禿頭症治療

コロンビア大学の研究者が3Dプリント技術を用いて人間の毛髪を生成する方法を確立

コロンビア大学アーヴィングメディカルセンター(Columbia University Irving Medical Center 以下 CUMC)の研究チームは、人間の皮膚への移植を必要とせず、3Dプリンティング技術を使用して人工的に人間の毛髪を成長させる禿頭症治療法を世界で初めて確立させた。

研究チームは、3D CADソフトウェア「Solidworks」を使用して直径0.5mm×長さ4mmの微細な突起を複数持つプラスチック型を、StrataysのPolyjet方式3Dプリンタ「Objet 24」使用して作成。この3Dプリント型とそれを納める容器は、毛嚢を成長させるためのより自然な微小環境を作り出し、それらの周囲で細胞が成長するよう設計されている。ケラチンを生成する細胞と共に人間の毛包細胞が型に沈着すると、細胞に毛髪の成長を刺激する成分を注入。その後約3週間で人間の毛包が現れ毛髪を作り始める。

従来の加工技術では毛髪新生に必要な微小環境の構築が困難であったが、3Dプリンタ用いた微細加工技術により、培養に適切な微小環境の作成が可能となった。
3Dプリンタによって実現したヒト細胞から完全な毛嚢を再生する技術は、育毛剤開発の手順を大きく改善するだけでなく、様々なタイプの脱毛症ならびに慢性創傷を有する患者など、毛髪修復手術に対して効果的な治療が提供できるとして大いに期待されている。

この研究成果は、Nature Communications に「Tissue engineering of human hair follicles using a biomimetic developmental approach」と題した論文で発表されている。


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