NASAは最新の火星探査機に11個の3Dプリント部品を採用

NASAの研究所、火星探査機「Perseverance」に11個の金属3Dプリント部品を採用

無人探査機等の研究開発及び運用に携わるNASAの研究所 ジェット推進研究所(Jet Propulsion Laboratory:JPL)は、最新の火星探査ローバー「Perseverance」に、11個の3Dプリント製金属部品が搭載されていることを明らかにした。

火星の地層から生命の存在に関する痕跡を探し、将来的に地球に持ち帰る地表サンプルを用意するなど、様々なミッションを課せられているNASAの最新ローバー(探査車)「Perseverance」は、米国時間7月30日の朝に火星へ向けて打ち上げられ、2021年2月に「ジェゼロ」と呼ばれる直径45kmのクレーターへの着陸を予定している。この「ジェゼロ」は、かつて火星の地表に水があった頃に湖であったと推測されている場所であり、湖に流れ込む土砂が堆積して形成されたデルタ地形で、過去に火星で発見された微小有機生命体の痕跡などの発見が期待されている。

総重量2260ポンド(約1トン) の「Perseverance」には、微小な有機生命体の痕跡を探すため、さまざまなセンサーが搭載されているほか、火星の大気や地質を調査することもできるヘリコプター型ドローン「Ingenuity」など、7種類のツールが搭載されており、これらのツールには合計11個の3Dプリント部品が採用されている。

地表面のサンプル組成を分析するため、ローバー前方に設置される全長2メートルのロボットアーム先端にあるX線分光計「PIXL」は、40kgの回転タレットの中に様々な機器を納めるため、スペース効率の向上と軽量を目的に、3Dプリントされたチタン製シェル、マウントフレーム、サポートストラットなどを採用。これらの部品は、金属3Dプリントの専門家である Carpenter Technology(カーペンター・テクノロジー)によって製造された。

また、火星の大気から純酸素を作り出すことを目的とした実験機器「MOXIE(Mars Oxygen In-Situ Resource Utilization Experiment)」には、火星の空気を800℃近くまで加熱して酸素を生成するのに必要な6つの熱交換器が搭載されており、主要部品を高温の影響から保護するための部品に、ジェットエンジンや発電タービンに使用される耐熱性超合金から造られた3Dプリント部品を採用。従来の製造方法では2つのパーツを溶接して造られるが、3Dプリント技術を利用することで、より耐熱性と耐久性に優れた一体型部品として作製することができた。

「Perseverance」のミッションは、将来的な火星への有人探査を目的としたNASAのプロジェクトの一部であり、3Dプリント技術がプロジェクトの中で重要な役割を果たすよう設定されている。またタスケギー大学(Tuskegee University)の研究者等は現在、NASAの月面着陸機用の3Dプリント部品を開発中で、今後の火星探査に使用される予定となっている。


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