月の粉塵から作られた3Dプリント部品

ESAは月基地で使用可能なネジや歯車などの部品を月の粉塵から3Dプリントする技術を開発

1975年5月設立の宇宙開発・研究機関「欧州宇宙機関(European Space Agency, 以下 ESA)」の研究チームは、月の粉塵からネジや歯車を生成する3Dプリント技術を開発。

ESAの研究チームは、月や小惑星などの天体の表面を覆う堆積物(通称レゴリス)を材料に、様々な部品を生成する3Dプリント技術を研究。今回発表されたネジや歯車などの精密な3Dプリント部品は、粉砕し粒子サイズまで篩分けした「レゴリス粒子(月の粉塵を模した疑似材料)」を光反応性結合剤と混合した素材を使用し、レイヤー毎に光硬化させて成形した後、オーブンで焼いて焼成している。


レゴリス粒子から3Dプリントされた部品類

レゴリス粒子を材料とした3Dプリントセラミック部品の製作は、高性能セラミックス3Dプリント用材料およびAdditive Manufacturing製造システムを開発するオーストリアの企業「lithoz」が担当。

ESAは、月面基地の建設、運用、維持管理におけるAM製造の実現可能性をテーマとした研究を行っており、LithozのCEOは「我々は、セラミックス材料を使用したAM製造に関する専門知識を有しており、そのおかげでこれらの結果を非常に迅速に達成することができました。我々は、月におけるセラミックAM製造に大きな可能性があると考えています。」と述べている。

宇宙空間におけるミッションでは、機材の修理などに必要な部品を地球から取り寄せることは困難であり、3Dプリンタを活用しその場で入手可能な材料から必要な部品を生成する技術は、重要な研究課題となっている。ESAは次のステップとして、地球から送られる交換部品を必要とせず、交換部品を惑星上で生成することを想定し、部品の強度や機械的特性をテストしている。


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