ISS用紫外線望遠鏡の部品を3Dプリント

イタリアの研究グループは国際宇宙ステーション用の紫外線望遠鏡の部品を3Dプリント

イタリア宇宙機関(Agenzia Spaziale Italiana 以下 ASI)、ロシア連邦宇宙局(Roscosmos)、イタリアの公的研究機関(Instituto Nazionale di Fisica Nucleare 以下 INFN)は共同で、国際宇宙ステーション(以下 ISS)に配備された宇宙紫外線望遠鏡の認証部品を3Dプリントした。

「Mini-EUSO(Multiwavelength Imaging New Instrument for the Extreme Universe Space Observatory)」と名付けられたこの革新的な望遠鏡は、ISSからの地上および宇宙の紫外線放射を研究するために使用されている。この構造物は最近、ソユーズロケットで宇宙に打ち上げられ、ISS を構成するモジュールの一つであるロシアのズヴェズダ(Zvezda)に搭載された。

このプロジェクトの最終的な目標は、紫外域(300-400 nm)の地球の高解像度地図を作成することであり、宇宙線の研究を大きく前進させるだけでなく、将来の宇宙ミッションのための重要な実験として期待されている。

ASIとそのパートナーは、Stratasysの「Fortus 450mc」3Dプリンタと「ULTEM 9085」材料を使用して、INFNの施設(Laboratori Nazionali di Frascati)で望遠鏡部品をプリント。研究チームは、3Dプリント技術を利用することで、航空宇宙分野とISSの厳しい要件を満たす部品を製造。またこの部品は、ロケット打ち上げ時の機械的ストレスや振動にも耐える性能を有している。

INFNの機械設計・建設部門の責任者である Tommaso Napolitano 氏は「私たちは、航空宇宙用の最も一般的な素材の一つであるアルミニウムで完全なプロトタイプを作ったこともありました。しかし、その結果は期待とは程遠いものでした。アルミニウム製のプロトタイプは重すぎて、内部の電流に必要な絶縁性を提供していませんでした。我々がFortus 450mc 3Dプリンタに目を向けたところ、ULTEM 9085樹脂が完璧な代替品であることに気づきました。ULTEM 9085樹脂は耐久性に優れているだけでなく、とても軽量です。さらに重要なのは、高い耐薬品性と耐熱性だけでなく、優れた絶縁性も備えているという点です。この材料でMini-EUSO構造をプリントする能力がなければ、ISSの安全性と重量の制限を満たすことはできなかったでしょう。」と説明している。

Mini-EUSO望遠鏡が捉えたデータは既に地球に転送され、チームによって解析が行われている。この装置は、宇宙からの超高エネルギー宇宙線の起源と性質を調査・研究しようとする、より広範な国際的なプログラムの一部である。Mini-EUSOは今後3年間で、JEM EUSO共同研究が主導するこの取り組みのための重要なデータ収集に貢献することになる。


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