- 2022-1-5
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Formlabs、電気電子部品生産現場向け新材料「ESDレジン」を発売
米国マサチューセッツ州サマービルに本社を置く3Dプリンタメーカー Formlabs は、2022年1月5日より、光造形(SLA)方式3Dプリンタ用の新材料である静電気散逸性材料「ESDレジン」の販売を開始。併せて、従来モデルと比較して、造形スピードが最大40%高速化した新型3Dプリンタ「Form 3+」および「Form 3B+」の販売開始を発表。
関連記事:Formlabs、造形スピードが最大40%向上した新型機を販売
静電気散逸性材料とは?
静電気放電(ESD)は、特に半導体を含むエレクトロニクスに関わる生産現場において大きな問題となるもので、静電気が電気・電子部品に流れ込んでしまうと、回路基板等のESDに敏感な製品・部品は静電気放電によって大きな損傷を受ける恐れがある。また、今日ではほぼ全てと言って良いほどの機械製品には電子部品が組み込まれており、それだけにESDによる製品損傷リスクに備えることはあらゆる製造業にとって極めて重要な課題となっている。今回リリースされた「ESDレジン」のようなESD対策材料(静電気散逸性材料)は、主に接地させた状態で使用。静電気散逸性材料は絶縁体ではなく導体であるため、帯電した物体に触れると電流が流れるものの、電流はその表面を伝わるのみでアース線のように電子の逃げ道となり、接地点から電流を散逸させる。エレクトロニクスに関わる生産現場では、このESDへの対策に不備があると生産ライン上の製品のロス、ひいては生産歩留まりの大幅な低下に繋がり、製品の納期遅延や経済的損失を引き起こしてしまう恐れがある。
ユーザーにとってのメリット
上記のようなESD対策品は、生産現場で使用される工具や治具、固定具、半導体チップの保管および運搬用トレイ等、その用途は多岐にわたる一方、従来は金属材料を機械加工することで製作するのが主流で、多くのメーカーはそうした治工具製作を外注している。3Dプリントの内製化で得られる一般的なメリット同様に、外注時と比較すると大きなコスト削減になるばかりか、 2週間程度は必要と目される製作期間を僅か1日に短縮することが可能。これまでの3Dプリント品では寸法精度や材料の物性が十分でない等の問題もあるが、同社の「Low Force Stereotholigraphy(LFS)」技術を搭載したSLA方式3Dプリンタによって「ESDレジン」を使用することで、十分な造形品質と物性が得られる。
半導体不足に悩む製造業の生産性向上にも
Formlabsの3Dプリンタやレジンは、これまでもその寸法精度や材料の幅広さを理由に、世界中で多くの生産現場で治工具や固定具の製作に使用され、製作費や製作期間の大幅な圧縮を実現して来た。今回の「ESDレジン」の登場により、Formlabs製品は産業用と家庭用とに関わらず、幅広い機械製造業に対して生産現場におけるリスクを大きく低減するソリューションをラインナップに加えることとなり、ほとんどすべての機械メーカーの生産フェーズで実際的なメリットをもって導入いただけるものとなる。特に半導体に関わる生産施設は、日本政府が国内誘致に注力していると報道されていることからもわかる通り、今後の日本市場における極めて有望な成長市場です。 Formlabsは極高精度で誰もが直感的に操作しやすく、手頃な価格で導入可能な製品を世に送り出すことで、現在の製造業がそれを取り巻く苦境から脱却することに貢献したいと考えています。
「ESDレジン」による造形サンプル。左は回路基板(PCB)を支持する治具で、写真のように基盤をはめ込んで固定する。右の2つは半導体チップを保管・運搬する際に使用するトレイ。双方とも生産現場で頻繁に使用される。
ESDレジンの主な材料データ
- 対応プリンタ:Form 3, Form 3B, Form 3+, Form 3B+, Form 3L (Beta)
- 対応レジンタンク:Form 3 V2 & V2.1, Form 3L V1 & V2
- 洗浄時間:IPAまたはTPMにて20分(本材料のみでの個別洗浄を推奨)
- 二次硬化温度・時間:70℃にて60分
- 対応レイヤー高さ:50ミクロン、 100ミクロン
- 表面抵抗率:105 – 108 Ω/cm2
- 極限引張強度:44.2MPa
- 引張係数:1.937GPa
- 破断伸び:12%
- 曲げ強度:61MPa
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