日本電気硝子、ガラスビーズから透明性のある3Dプリント品の造形に世界で初めて成功
日本電気硝子は、3Dプリンタ使用材料として、造形品の透光性を調整できるガラスビーズの開発に成功した。
下図:同量(30vol%)のガラスビーズを添加し造形した樹脂の外観比較(厚さ0.5mm)
市販品との比較
従来の造形プロセスでは、造形品の耐熱性や強度向上が求められる場合に樹脂中へガラスやセラミックビーズが添加されていたが、これらの添加材では耐熱性や強度は向上できるが、樹脂との屈折率の整合については考慮されていないため、屈折率差で光が散乱し、透光性を有する造形品へのニーズには応えることができなかった。
今回同社は、光学ガラスの材料設計とビーズ作製技術を駆使して、3Dプリンタに用いる樹脂と屈折率を整合させた微小ガラスビーズの開発に成功。このガラスビーズを用いることで耐熱性や強度を向上させつつ、造形品に透光性を付与することが可能となった。このように耐熱性と強度に加え、透光性を持った3Dプリント品の実現は世界初となる。
ガラスビーズ製品の特長
- 透光性付与が可能
樹脂と屈折率を整合させることで透光性を実現できる。また他の添加剤との配分比率を変えることで透光性の度合いを調整できる。 - 耐熱性・強度を向上
ガラス材料のため,耐熱性および強度を高めることができる。 - 樹脂への均一分散
ガラスビーズの粒度を最適化することで,樹脂中に均一に分散できる。
同社による応用例の一つ「仮歯用材料」によれば、従来の屈折率が整合していないガラスビーズを添加して造られた仮歯は、透光性がなく不自然な外観となるが、屈折率を整合させたこのガラスビーズを添加したものは、耐熱性や強度に加え実際の歯に近い透光性と審美性を有する仮歯の造形が可能になると言う。
左)本製品、右)本製品を使用して造形された仮歯
同製品は、2020年1月より一部で販売を開始しており、顧客のニーズに合ったガラスビーズを提供することで、3Dプリンタ技術の進展と市場成長に貢献していくとしている。
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