MITがバージョンアップしたガラス3Dプリンタを発表

MITの研究チームはガラス3Dプリンタのアップグレードモデル『G3DP2』を発表

MIT「Mediated Matter Lab(以下 MITメディアラボ)」の研究チームは、2015年に発表したガラス3Dプリンタ「G3DP」のアップグレードモデルに当たる最新のガラス3Dプリンタ『G3DP2』を開発。Liebertでその論文を発表した。

最も古い生産材料である透明ガラスを材料としたAdditive Manufacturing(AM)製造技術を研究するMITメディアラボの研究チームは、デジタル統合された3つの領域の熱制御システムと4軸モーションコントロールシステムを組み合わせた新しいガラスAMプラットフォーム「G3DP2」を開発。
G3DP2は、先に発表されたG3DPからビルド量アップのためのリザーバーの大型化、およびプリント速度と精度を向上させたバージョンアップモデルで、建築など様々な産業用途に対応するため再設計されている。


左:G3DP、右:G3DP2 

1時間あたり5kgを超えるガラス材料の出力が可能なG3DP2は、1090℃の溶融ガラスを液体状態に保つためのリザーバと、800℃で動作するノズル、480℃に保持されるビルドチャンバの3つの熱制御ゾーンから成る上部のサーマルモジュールと、4軸制御の下部モーションモジュールから構成された単一のシステムを制御し、他のFDM/FFF方式3Dプリンタ同様に、冷却時に凝固する溶融ガラス材料層を連続的に積み重ね、最終用途に適したガラス製品を生成する機能を有している。


左:上部サーマルモジュール、右:下部モーションコントロールモジュール

同研究チームは、G3DPシリーズの機能を披露するため「ミラノデザインウィーク 2017」で、一般的なソーダ石灰ガラス同等の性能を有した3Dプリント製ガラス作品として、3メートルの高さのガラス支柱を展示。この支柱は、独立した15種類の連続した3Dプリント製ガラスコンポーネントから構成されている。

これまでの他のガラス3Dプリントシステムでは達成できなかった高い生産性と正確さ、一貫性を達成したG3DP2のプリントプロセスは、ガラス3Dプリンタ開発の第一段階として、溶融ガラスの堆積によって光学的に透明な物体を作成することが可能であることを証明した。
MITメディアラボの研究チームは第2段階として、建築等工業用途に最適化されたプラットフォームの研究開発に焦点を当て、システムの設計・開発および部品製造などに関する新しい目標を設定している。

2015年現在、ガラス生産の世界市場は2億トンを超え、建築部門では5900万トン(73億平方メートル)の板ガラスを生産しており、建築用ガラスにおけるは市場規模は450億ドルとなっている。


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