フランスの研究者が安価な3Dプリントを利用して超高解像度光学ガラスの3Dプリントに成功
ICMCB-CNRS 研究所とボルドー大学の研究チームは共同で、FDM方式3Dプリント技術を用いて、光学部品などに使用されるリン酸塩ガラス(Phosphate glass)を3Dプリントする方法を開発した。
リン酸ガラスの3Dプリント Image : University of Bordeaux.
リン酸塩ガラスは、その特異な光学的性質から、光学系レンズ、光ファイバーおよびその他の光学部品に最適な屈折特性を持つ材料として利用されている。研究チームは過去の試みで、解像度や密度の欠如などが原因で思うような成果を残すことが出来なかったが、新たな研究の第一段階として、ベースとなるリン酸塩ガラスフィラメントを開発。この材料は、1.9mmのロッドに引き出される前に、800℃熱して白金ルツボの中で調合されている。
このリン酸塩ガラスを溶融し押し出すには非常に高い温度設定が必要なため、チームはエントリーレベルの3Dプリンタ「Prusa i3 clone」に対して幾つかの大幅な改良を加え、実験に必要な470°Cのノズル温度と320°Cのベッド温度を維持できるようカスタマイズ。
ガラスフィラメントからプリントされた部品は均一な配光を示した
この研究では、多くのプリントパラメーターを調査することで、99.98%という信じられないほどの高密度を達成し、部品内での不要な光散乱を回避することに成功。SEM画像とX線トモグラフィーを用いて、系統的な微細構造の完全な特性評価を行い、100ミクロン領域での層厚と約600ミクロンの線幅を実現。また3Dプリントされたこの構造体は、約0.02%と非常に低い気孔率を示した。
約0.02%という非常に低い気孔率を示した3Dプリントガラス
恐らく、この研究で最も注目すべき成果は、プリントされたガラス構造体がその光学的発光特性を維持していたという点にある。この特性は、あらゆるハイテク光学システムにおいて絶対的に重要な要素であり、最終用途の部品製造において費用対効果の高い方法を提供する上で、大きな可能性を示している。
この研究の詳細は「Direct 3D-printing of phosphate glass by fused deposition modeling」と題された論文として発表されている。
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