3Dプリント作品が富山デザインコンペでグランプリ受賞

富山デザインコンペティション2020で3Dプリント作品「積彩」がグランプリを受賞

富山県総合デザインセンターを中心に、デザイン性に優れた商品の共同開発や販路開拓の支援、デザイン人材の育成など、幅広い取組みを進める富山県は「リアリティあるデザインプロジェクトの創出をめざし、県内企業が抱える3つの課題」をテーマに、全国から優秀な作品を募集し商品化をめざす「富山デザインコンペティション 2020(toyama design competition 2020)」を開催。
同コンペを主催するデザインウエーブ開催委員会は、2020年12月3日に執り行われた最終審で各受賞作品を選定し、3Dプリント技術から造られた色彩工芸作品「積彩」が、見事グランプリを受賞した。そこで今回は、本作品を出品した Color Fab 代表の大日方氏に話しを伺った。
本文は2020年12月8日の取材内容を元に構成

All Photo : ©︎ 2020 Color Fab

 

「積彩」のコンセプト

色を「着ける」から「積む」へ、新しい色彩のあり方をデザインする。コンピューティングによって調色しながら色糸を積む3Dプリンティングの製造によって造形・着彩をひとつの工程として扱う。これを「積彩」と呼び、分業による余分なコストを削減する。また、繊細な織物のように糸を積んでいく積彩は新たな表現技法(虹のように変化する色彩効果)を可能にし、私たちはこの技法を応用して「色瓶」というプロダクト製作した。

 

開発の経緯について

本作品を開発するに至った経緯について伺えますか

色を扱うことのできる3Dプリンタの開発が世界中で進んでいますが、まだその可能性を引き出すようなデザインの例は少ないと感じています。3Dプリンタを単なる造形のツールとしてだけではなく着彩のツールとして捉えた時、そこには3Dプリンタでしかできないような色彩の表現があるはずで、私たちはそこに日々挑戦しています。今回の作品のように、見る角度によって色の変わるような不思議な「意匠」を生み出すだけでなく、オーダーメイドのカラーデザインや生産工程の単一化によるコストの削減など、3Dプリンタが「製造」にもたらす変化についても注目しており、今回のコンペではそういった「作り方そのものをデザインする」という取り組みを評価していただきました。

 

使用された3Dプリンタについて

本作品のプリントには、汎用型のFFF方式3Dプリンタを利用されているようですが、作品を造るに当たり独自にカスタマイズなどされましたか?

「積彩」には、QuadFusion というマルチカラー対応のFFF方式3Dプリンタを使用しています。私たちは主にソフトウェアの開発をして、独自のツールでg-codeを直接制御するということをしています。造形しやすいよう多少手を加えていますが、ハードウェア自体は大きな改良はしていません。
関連記事:異なるフィラメントを混合するカラー3Dプリンタを発表

 

使用された3Dプリント材料について

本作品は、汎用材料では見かけない鮮やかな色の材料を使用されてますが、どのような材料を使われましたか?

「積彩」の材料(フィラメント)は、オランダのフィラメントメーカー ColorFabb が提供するカラーオンデマンドサービスを利用しました。同サービスは、ユーザーが指定した色で材料を作ってもらえるので、目的の色に指定した材料を用意しました。
私たちはこれまでのリサーチプロジェクトとして、フィラメントの中に抹茶や桜の粉末を混ぜて日本の伝統色のようなフィラメントを独自で作っていたことがあり、そこで得た経験を「積彩」にも反映させています。

過去に開発されたオリジナルフィラメント

 

Color Fab の今後の活動について

Color Fab では、今後どのような活動を計画されていますか?

Color Fab はこれまで大学の研究室内での活動でしたが、大学卒業のタイミングに合わせてデザインエンジニアリング事務所として独立して活動していくことになります。私たちはこれからも、3Dプリンタと色彩をテーマに、グラフィックからプロダクト、ファッション、空間スケールまでさまざまなものをデザインしていきたいと思っています。スケーラブルに作っていくことのできる3Dプリンタの特性を活かしつつ、仕事としても色々な対象にチャレンジしていくことになるでしょう。私自身も今から楽しみです。

 

富山デザインコンペティションについて

富山デザインコンペティションは、1994年に全国初の「商品化」を前提としたデザインコンペとしてスタート。「賞を取ったら終わり」ではなく、富山のデザインコンペをきっかけに、企業とデザイナーが共に歩みだし「ロングライフな関係」で結ばれることを目指す富山デザインコンペティションは、賞を競いながらも、その後の商品化を含めたパートナーを探す「企業とデザイナーの出会いの場」を提供しており、2020年4月現在で36点を商品化している。


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