石油・ガス企業の83%が3Dプリント技術の採用を検討中

Protolabs、石油・ガス企業の83%が、スペアパーツ製造に3Dプリントやオンデマンド製造の導入を検討していることを発表

オンデマンド生産とラピッドプロトタイピングのスペシャリストである米国のデジタル製造サービス企業 Protolabs は最新のレポートで、石油・ガス会社の約83%が、スペアパーツ製造のニーズに対応すため、3Dプリントやオンデマンド製造の導入を検討していることを明らかにした。

Protolabsが発表した調査レポート「Decision Time」によれば、石油サービス業界は、コスト削減、CO2排出量の削減、クリーンエネルギーへの移行に対応することを目指しており、石油サービス業界企業が「MaaS(Manufacturing-as-a-Service)」に取り組むことで、持続可能性の課題にどのように対応するかを明らかにした。

2015年に締結されたパリ協定では、地球温暖化をできる限り遅らせるための法的拘束力のある排出目標が導入された。この目標が環境に良い影響を与えることは間違いないが、一方で、石油・ガス業界にとってはより環境に優しいエネルギー源への需要に対応するための変革が求められている。そこでProtolabsは今夏、多国籍業 Welltec やスコットランドの油田機器サプライヤ Swire Energy Services の経営陣を含む180人以上の業界リーダーにインタビューを行い、石油・ガス企業の大多数が、長期的な将来性を確保するためにはビジネスを革新しなければならないと考えていることを明らかにした。3DプリントやMaaSの導入だけでなく、英国の調査回答者の87%が、部品生産を効率化するためにロボットや自動化の導入を計画していると回答。また、回答者の76%が今後1年間に部品生産を専門業者に委託する予定であることを明らかにし、80%が不安定さを回避するためにサプライチェーンを短縮することを目指していると答えた。
興味深いことに、参加者の約74%が「グリーンエネルギー」への移行によってビジネスの再定義も必要になり、2026年までに64%のプロジェクトが化石燃料から離れることになると結論づけている。

Protolabs Europeの副社長兼MDであるBjoern Klaas氏は「石油・ガス部門が環境面での信頼性に真剣に取り組み、グローバル市場での持続可能性を獲得していることを示している。」と述べている。

世界が化石燃料から離れ始め、石油・ガス分野の競争が激化する中、企業はコスト削減の方法を模索している。そのため多くの企業が、工場のダウンタイムを減らすために3Dプリントサービスに部品生産を委託することを検討しており、サプライチェーンの不安定さ避けるため社内採用を進めている企業も出てきている。
これまでの石油・ガス用途における3Dプリンティング技術の障壁となっていたのは、最終用途に必要な耐食性や熱安定性を備えたパーツを製造するためのパラメータを確立することが困難であったためだが、昨今この分野における進展が見られ、認証機関であるDNV GLは最近、石油・ガス業界における3Dプリント導入を支援するためのサービス仕様書を発表している。また、石油・ガス業界自体も、昨年のDNV GL「Joint Innovation Projects」に積極的に参加するなど、3Dプリンティング技術に高い関心を示している。
海運、石油、PBF分野におけるWAAMおよびPBFの3Dプリントパーツ製造および認定のガイドラインを確立するために企画されたこのイニシアチブには、BP、Shell、Totalのほか、Sandvik、Siemens、Additive Industriesなどの専門家が参加した。

今回の調査においてProtolabsは、これまで関心が高まっていた石油・ガス分野が、分散型製造の手段として3Dプリント技術の採用を拡大することを確認。同社は、2021年5月にDNV GLから「Qualification」メーカー認証を取得し、DMLSプリント部品が、石油産業の厳しい要求を満たしていることを証明している。


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