欧州企業が共同で宇宙用大型3Dプリンタを開発

欧州企業が共同で国際宇宙ステーション搭載を目的とした大型微小重力用3Dプリンタを開発

欧州有数のハイテク企業OHB SEの子会社「OHB System AG(以下 OHB System)」は、国際宇宙ステーション(以下 ISS)向けの大型3Dプリントシステムを開発するため、欧州宇宙機関(European Space Agency:以下 ESA)とパートナーシップ契約を締結。
高性能な熱可塑性プラスチックを使用するこの大型3Dプリントシステムは、宇宙飛行構造物の開発・製造を行うドイツ企業「Sonaca Space GmbH」と、ポルトガルの大手デスクトップ3Dプリンタメーカー「BEEVERYCREATIVE」およびアイルランドのアスローン工科大学(Athlone Institute of Technology)からなるOHB System主導のコンソーシアムを通じて開発される。

宇宙空間で使用される大型3Dプリントシステム(スペース・アディティブマニュファクチャリング・システム)は、ISS内でエンジニアリンググレードの熱可塑性樹脂を使用して大型の機能部品をプリントすることを目的に開発される予定で、現在ISSに搭載されているMade In Spaceの「AMF 3D printer」が使用する、ABS、Green PE、PEI / PCなどの材料と互換性がある。

現在ISSに設置されるMade In Spaceのプリントシステムは、ビルドボリューム140×100×100mmと小型だが、今回新たに開発される3Dプリントシステムは、宇宙空間で使用可能なより大規模な部品製造に使用される予定である。
OHBシステムとそのパートナーは開発プロセスの一環として、このプリントシステムを使用した一連の機能部品をプリントし、厳格なテストにかけて実用性を検証する。

OHB SystemとESAは、過去3年の間に宇宙探査のための3Dプリントアプリケーション開発で協力しており、その一つとして、3Dプリント技術を用いた月面基地建設計画を展開している。

OHB SystemsとBEEVERYCREATIVEの両社は、2014年かからESAの実験的AMシステム「Manufacturing of Experimental Layer Technology(以下 MELT)」プロジェクトを推進するためのコンソーシアムに参加。このプロジェクトの目的は、微小重力環境下で、PEEKなどのエンジニアリングポリマーを使用できる3Dプリントシステムを設計することであり、2018年5月には欧州初となる、宇宙用3Dプリンタ(MELT 3Dプリンタ)の試作品をESAに納入した。


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