放射線療法研究のため製作された3Dプリント製人体模型

放射線治療法の研究用に開発された3Dプリント製CT撮影用全身ファントム

ルイジアナ州立大学(LSU)の生物・農業工学の学生Meagan Mooreは、放射線療法研究に用いるためのフルサイズの「人体模型(CT撮影用全身ファントム)」を3Dプリンタで製作。
ファントム・マリー(以下 マリー)と名付けられたこの3Dプリント製全身ファントムは、バイオプラスチック素材とBigRep社の大型3Dプリンタを利用し、約136時間掛けて3Dプリントされた。


Image:Louisiana State University.

一般的な医療用ファントムの価格は、一体当たり4万ドル(約440万円)と高額だが、3Dプリンタを利用したこのファントムは、500ドル(約55,000円)で製作することができる。
また、高額な医療用ファントムは、個々の患者の特徴に合わせパーソナライズされた物を製作することが困難であるが、3Dプリント技術を活用することで、様々な特徴を持つカスタマイズされたボディを生成することが可能になる。今回製作されたマリーは、実際に5人の女性の身体を3Dスキャンしたデータを元にモデリングされた物で、米国女性の平均的な体型を再現している。

マリーは、BigRep 3Dプリンタで出力された4つ部品から構成されており、各部位の接続と研磨処理を終えた後、水を保持するため、液体ラテックスと紫色の屋根用シーラントでコーティングされている。
完成したマリーの身長は5フィート1インチ(約1.55メートル)、体重は15ポンド(約6.8kg)で、36ガロンの水を4時間半保持することができる。

現在マリーは、ルイジアナ州立大学から米国の癌研究機関であるシアトルのワシントン大学「UW Medical Cyclotron Facility」に運ばれ、放射線治療法の研究に利用されており、今後3Dプリント製ファントムが医療分野で適切に使用されれば、癌患者をより正確に治療するのに役立つと期待されている。


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