- 2021-1-15
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ナショナルデパートがスイーツ専用の食品3Dプリンティングシステム「Topology」を開発
岡山県に本拠を置くナショナルデパートは、複数種類の食材のインジェクションが可能な新方式のスイーツ専用の食品3Dプリンティングシステム「Topology(トポロジー)」を開発し、2021年のバレンタイン商品から一部運用開始することを発表した。
「Topology」(トポロジー)のコンセプトモデル
ナショナルデパートは、バター専門ブランド「カノーブル」を展開し、日本国内におけるフレーバーバターの先駆者として香るバター「ブールアロマティゼ」シリーズで多種多様なフレーバーを開発・製造する中、モールド作成などの工程で3Dプリンタを積極的に活用。この度、スイーツ自体を3Dプリントするため技術を開発し、2021年のバレンタイン商品から一部運用開始する。
トポロジーは、3Dプリンタ単体の開発ではなく、3Dプリントに最適化するためのテクスチャ剤の開発などを含めた食品3Dプリントの総合的なシステムの構築を目的としている。スイーツ専用の食品3Dプリンティングシステムであるトポロジーは、バターの開発・製造で培った3Dプリンタ活用やテクスチャ開発の実績を元に開発。テスト機はバレンタイン商品製造から一部テスト稼働させ、今後はスイーツ3Dプリンタの開発を核として総合的な食品3Dプリンティングシステムの構築を目指すとしている。
「Topology」(トポロジー)プリンターの特徴
- 複数種類の食材をシームレスに射出
- 食材を容器に密閉したままセットで衛生面の安心
- 立体的な造形で複雑な食味を実現可能
トポロジーは、クリームやスポンジケーキなどのスイーツを構成するための食材を格納するストレージと食材を射出する4軸アームで構成されており、容器に密封された状態で機器にセットされた食材は、機器内のポンプで接続したチューブを通してアーム部分に送液され、先端の口金から射出される。
複数種類の食材をシームレスに射出
これまでの食品3Dプリンタは、食材をシリンダーに収めてピストンで押し出す構造だが、複数種類の食材を切り替えながらシームレスに射出することができない。しかしトポロジーは、食材の種類ごとに独立したポンプで制御することで継ぎ目のない射出が可能になる。
食材を容器に密閉したままセットで衛生面の安心
トポロジーでは、スパウトパックに密閉した状態で食材をセットするので異物混入などのリスクを軽減。これまでのホッパーとスクリューで充填していた製造機械では時間のかかっていたパーツの洗浄なども省力化が可能になる少量多品種の製造に特化したシステムとなる。
立体的な造形で複雑な食味を実現可能
これまでのケーキは、スポンジとクリームの積層によるものが主流だが、3Dプリントなら複数のフレーバーの食材を立体的に造形することができ、今までにない複雑な食味を実現することが可能になる。
複数の食材を立体的に造形
これまでのケーキを製法ではスポンジケーキとクリームの一方向の積層が周流だが、トポロジーでは従来2層しか積層できなかった体積内でより多数の食材を積層させることが可能になり、専用のテクスチャ剤を利用するとスポンジケーキなどの固形物も粘体として送液することができ、より複雑な食感を実現することも可能になる。
幅3cm高さ2cm内に5種類のバタークリームと1種類のスポンジケーキを射出したサンプル
3Dプリンティングに最適化するためのテクスチャ剤も開発
スイーツを構成する食材を3Dプリントに最適化するため、増粘剤や乳化剤を調合したテクスチャ剤を開発。テクスチャ剤を使用することでこれまで3Dプリンタで造形が不可能であったスポンジケーキなどの固形物も粘体として送液が可能になり、機械耐性の向上や耐冷凍性の向上などを実現。
最適化するためのテクスチャ剤
自社製品のバターケーキでテスト運用開始
トポロジープリンタの試作機はすでに自社製品のシンギュラリティバターケーキの製造でも一部テスト運用され、バターで成形したモールド内部に6種類のマテリアルの射出に成功、実用化についての実証実験も着実に進んでいる。今後は課題点などを検証しながら自社製品製造での活用を目指す。
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