自動車メーカーシュコダ、社内のMJFを活用して1日に60セットの呼吸器を3Dプリント
ドイツのフォルクスワーゲングループ傘下であるチェコの自動車メーカー シュコダ・オート (Škoda Auto) は、社内にあるHPのMulti Jet Fusion 3Dプリントシステムを使用して、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)と戦う最前線の医療スタッフ用呼吸器製造を支援している。
CIIRC RP95-3D respirator mask Photo:CTU
チェコ工科大学のチェコ情報・ロボット・サイバネティクス研究所(Czech Institute of Informatics, Robotics and Cybernetics 以下 CIIRC)によって開発された人工呼吸器「CIIRC RP95-3D respirator mask」は、HPの3Dプリントシステム「Jet Fusion 4200」または「5200」シリーズとポリアミド PA-12材料を使用して3Dプリントできるよう特別に設計されており、シュコダは最初に5つのテスト用呼吸器を3Dプリント。これが成功すると直ぐにより多くのマスクをプリントするためプロセスを最適化し、1回のバッチで60個のマスクユニットを生産できるようにした。
1バッチあたりの3Dプリントに掛かる時間は約16時間で、冷却工程で更に16時間ほど掛かる。
「CIIRC RP95-3D respirator mask」は、マスク本体、シールキャップ、フィルターカートリッジ取付け用アダプター、呼気カバーの4つのパーツで構成されており、交換可能なP3粒子フィルターが内蔵され、蒸気滅菌器で滅菌してアルコール系消毒液(85%のエタノール)を噴霧して消毒し、再利用することができる。この交換可能なフィルター部品は最大で1週間持つと報告されており、EN 140:1999規格に準拠しFFP3クラスのレスピレーターと同等以上の保護性能を有している。
3Dプリント後に組み立てられた「CIIRC RP95-3D respirator mask」は、チェコの保健省に配布され、必要に応じて最前線で戦う医療従事者の元へ配布される。
CIIRCは最終的に射出成形による大量生産を計画しているが、金型はまだ開発中で完成までに時間を要するため、その間、HPのMulti Jet Fusionプロセスと利用して必要とされる医療機器を迅速に製造するとしている。
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