英国鉄道網の現場でレールメンテナンスを行う自動化されたロボット3Dプリントシステム
スペイン・マドリードに本拠を置く総合建設会社 Ferrovial の子会社で、英国ベースのインフラストラクチャサポートサービスプロバイダー Amey は、英国鉄道網の保守メンテナンスに3Dプリント技術を使用するための内部計画を明らかにした。
スイスのロボッティクス企業 ABB と協力し展開される同プロジェクトは、ロボットアーム式3Dプリンタを搭載するメンテナンスシステムが線路上を移動し現場に赴き、修理の必要な損傷箇所を特定し、搭載されたロボットシステムでレール等に生じた障害を除去および交換できる独立した修理システムとなっている。メンテナンス後に非破壊検査(NDT)を行い分析した結果は、後のメンテナンスに必要なデータとして保管される。
Ameyによれば、英国の鉄道に対する需要は前例のない速度で成長しており、過去20年間で乗客数は倍増しているが、他の先進国同様、高齢化により鉄道網の整備に必要な人材確保に苦慮しており、既存の鉄道路線の多くが需要の拡大に対応した改善がなされていない。これは英国鉄道業界全体にとって大きな課題となっている。
イーストミッドランズ、ロンドンおよび英国北西部の鉄道網を所有し管理する Network Rail(ネットワーク・レール)もその一つで、公共のニーズに応えるたのアップグレードを迫られているが、実現に至っていない。
多くの作業が手作業となっている現場に対し、3Dプリンタを備えたロボットシステムを現場に派遣しメンテンナンスすることで、作業員の事故リスクを軽減し、より迅速かつ効率的に列車運行が可能となり、メンテナンスに関わるコストを大幅に削減することができると期待されている。
計画では、このシステの運用により作業効率が80%向上し、材料廃棄物が40%削減。英国鉄道網における二酸化炭素排出量も大幅に削減できるとしている。また、英国鉄道の60%以上がこのようなシステムを使用してメンテナンスされることで、年間4,000万ポンド(約56億円)以上の節約に繋がると予想されている。
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