ウミガメの卵を守る3Dプリント製ダミー卵

野生動物保護団体がウミガメの卵を守るため追跡装置を埋め込んだ3Dプリント製ダミー卵を開発

英国のケント大学と野生動物保護団体 Paso Pacifico(以下 パソ・パシフィコ)の研究チームは共同で、盗難や違法取引されるウミガメの卵を守るため、3Dプリント技術を活用した新しい方法を開発した。

野生動物の違法取引規模は、把握されているだけで年間2兆9,000億円にのぼると試算されており、現在ではその規模と深刻さから、麻薬や人身売買などと並ぶ世界4大犯罪のひとつに数えられている(WWFより引用)
ウミガメの卵においては、マレーシアなどでは珍味とされ、バーやレストランなどで提供されている。このような保護動物の違法取引を防ぐためには、地元の法執行機関と協力して、違法な取引業者が利用しているルートを特定し、供給ラインをカットすることが重要とされている。

パソ・パシフィコの科学者であるキム・ウィリアムズ・ギレン博士は、彼女のお気に入りのテレビ番組「ブレイキング・バッド」や「ザ・ワイヤー」に触発され、この脅威に対する対抗策を考案。チームはキム博士のアイディアを参考に、3Dプリント技術を利用してゴムのような質感を保ちながら、ウミガメの卵に似せたオブジェクトを3Dプリント。プリントされた造形物は内部に送信機(GPSトラッカー)を埋め込み、本物に似せて塗装仕上げされ「ダミー卵」として完成。

チームはこの3Dプリント製ダミー卵の有効性と追跡能力をテストするため、合計101個のダミー卵をコスタリカの海岸沿いにある本物のカメの卵の中に隠した。

このテスト期間において合計25個の3Dプリント製ダミー卵が盗まれ、取引ルートを追跡した。
ダミー卵に内蔵された追跡装置は、1時間に1回信号を発するようにプログラムされており、その結果、5つの密輸者の痕跡を特定することに成功。この内、最も詳細な追跡に成功した物では、137kmに及ぶ取引網をカバーしていたとされている。

今回のテストでは、5つのダミー卵で効果を証明することができたが、残念ながら多くのダミー卵はそのまま浜辺に捨てられており、全体の32%は湿気など様々な要因により破損していた。

研究チームは、この装置が他の種の保護にも応用できると期待しているが、より効果を発揮するには更なる技術研究が必要であり、その目標を達成するには更なる資金調達が必要であるとしている。


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