オックスフォード大学が3Dプリンティング技術で歴史的楽器を複製

オックスフォード大学、3Dスキャンと3Dプリンティング技術で歴史的な楽器を複製

英国オックスフォード大学の考古学および人類学のコレクションを展示する博物館 ピットリバーズ博物館 は、3Dスキャンや3Dプリントなどの最新技術を使用して、貯蔵する歴史的楽器のデジタル複製に取り組んでいる。

世界中から集めた歴史的な楽器を貯蔵するピットリバーズ博物館の元には、研究者や演奏団体のメンバー等から保存されている楽器の使用を求める要請が多く寄せられるが、歴史的な楽器の多くは脆く、安全に演奏することができない状態にある。このような要求に対応するためピットリバーズ博物館は、オックスフォード大学工学科学部と協力し、オックスフォード大学のITイノベーションチャレンジから資金援助を受け、3Dスキャンや3Dプリントなどの最新技術を使用して貯蔵する歴史的楽器のデジタル複製を行うプロジェクト「Plastic Fantastic Project」を立ち上げた。

ピットリバーズ博物館は「Plastic Fantastic Project」による複製プロジェクトのひとつとして、英国のJohn Goddardが制作した17世紀の象牙製リコーダーを複製。

オリジナルのリコーダーは、クランフィールド大学のCTスキャナでスキャンし、オックスフォード大学の研究チームによって3Dモデルに変換。オリジナルと同じ音色を再現するため、CTスキャナでスキャンしリコーダー内部の詳細構造を計測した際、オリジナルの木製リコーダーのマウスピース部分が木喰い虫と乾燥により大きな損傷を受けていることを発見。この課題に対応するため研究チームは、メッシュ処理ソフトウェアプロバイダー Polygonica に連絡を取り、Polygonicaのシュリンクラッピングアルゴリズムを使用して欠損部分を復元。
歴史的楽器をデジタル的および物理的に再現し、音色や感触がオリジナルとほぼ一致するリバースエンジニアリングに成功した。

オックスフォードの研究チームは、異なる素材、異なる3Dプリントプロセスを用いて5本のレプリカを制作。3Dプリントされたレコーダーは、2019年9月からオリジナルの楽器と共に一般公開され、各レプリカとオリジナルの音色を比較するライブパフォーマンスを実施。パフォーマンスに参加した聴衆からオリジナルに最も近いレプリカへ投票を依頼した。最終的な投票結果については未だ発表されていないが、研究チームによれば、3Dプリントされたリコーダーの方が良い音色だったという意見が多く寄せられていたと言う。


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