- 2021-2-5
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米国国防総省、国防プログラムにおける3Dプリント技術使用に関する戦略を発表
米国国防総省(The US Department of Defense/DoD)は国防プログラムの一環として、3Dプリント技術の使用に関する共通のビジョンを確立することを目的とした、史上初の包括的なアディティブ・マニュファクチュアリング(以下 AM)製造戦略を発表した。
国防製造技術(OSD ManTech)プログラムオフィスは、米国の軍事サービスおよび他の防衛機関と協力してこの戦略を起草し、国防部門全体で3Dプリント技術の採用を拡大するための戦略目標を設定。ここでの目標は、AM製造を国防総省の業務に統合して、国防総省ならびに外部パートナーとのAM活動を調整し、AMの機敏な利用を促進・促進。その知識を拡大することでAMのワークフローを拡充することとしている。またAMがどのようにして米国の経済的・防衛的優位性を維持していくかを3つの方法で概説し、AM利用における国防システムの近代化を目指すとしている。
米軍はこれまで、3Dプリント技術をミッションに組み込むための試験的な取り組みを行ってきたが今回の新しい戦略では、米軍による過去および現在のAM製造プロジェクトの成果を基に構築されることが期待されており、その取り組みの中には、3Dプリントされたミサイル部品の実験、ブラックホークヘリコプター部品の再設計、人員用にカスタマイズされた耳栓などが含まれている。
OSD ManTechの監督者であり、戦略的技術保護・開発局(STP&E)技術・製造産業基盤(TMIB)のロバート・ゴールド局長は「AM製造は、国防総省に前例のないサプライチェーンの俊敏性を提供すると同時に、国防総省の開発者が軍人のために技術的優位性を維持することを可能にします。この戦略は、国防総省がAM活動を構造化して資金調達の機会を調整し、AMの実施努力を改善することによりAM技術から最大限の利益を得ることを確実にするものであり、すべての目的は我々の軍事活動を向上させることにある。」と述べている。
国防総省AM戦略の第一目標は、防衛産業のサプライチェーン全体でAM技術のメリットを共有することであり、この目的のため国防総省は防衛産業基盤内での3Dプリンタ使用を最も広く実用的な範囲で可能にするため、内部方針と指針を策定する。これには兵器システム全体での重要なレディネス・ドライバーを特定し、知的財産(IP)とサイバー保護に関す る懸念に対処することが含まれる。国防総省の関連機関とサービスは、それぞれの組織全体で3Dプリンティングを実施するために必要な初期フレームワーク開発を開始しており、資格と認証ガイド、アイデアの交換、遠征軍のためのガイダンス、ロジスティクス、コストモデリング、サプライチェーン統合ポリシーの定義に焦点を当てている。
第二の目標は、新規および先進的なAM製造設計と技術のためのリーダーシップ、リソー ス、ガイダンスおよびプロセスを正式に調整することに焦点を当てている。これにより「統合防衛製造協議会(以下 JDMC)」と名付けられた国防総省における横断的な協力体制が確立され、情報の統合と共有が可能となる。JDMCは、新たに設立された「Joint Additive Manufacturing Working Group(JAMWG)」を監督し、ベストプラクティスの共有や共通課題の特定、共同プロジェク トの共同作業、政策や指針変更のためのフォーラムとして機能する。国防総省はまた、サービス実施計画の最善の情報を提供して資源を評価するため、現在のAM製造ロードマップの開発を継続する。国防総省は、NASA、エネルギー省(DoE)、連邦航空局(FAA)などの関連機関と協力して、3Dプリンティングに関連した共同プロジェクトを特定していく。
第三の目標は、国防総省のサービスや産業基盤内でのAM技術採用を拡大するため、科学的なデータに基づく理解と3Dプリント技術の応用を高め、国防総省が戦闘員のニーズにより迅速に対応できるようにすることを中心に展開する。3Dプリント部品とそのプロセスにおける資格と認証のためのニーズを満たすため国防総省は高リスク部品の安全レベルや厳格さ、コストを管理するためのリスクベースアプローチを導入。国防総省は過去および既存のAM製造プロジェクトから得られたデータ、経験およびベストプラクティスを活用して、共通の基準を開発し認定および認証プロセスを加速させる。この一環としてデジタルツインなどの仮想環境を使用して製造業務を改善し、今後の材料準備をサポート。またDoDは、世界中に配備された部隊による3Dプリントの安全で効果的な使用を確保するため、デジタルデータスレッドを拡大し、ロジスティクス、材料、機械、人員訓練の機械を増やすとしている。
最後の目標は、3Dプリント技術の活用におけるワークフローとそのデジタルスレッド全体を通してサイバーセキュリティを確保し、3Dプリントの生産とテストプロセスを保護することにある。国防総省は現在のツールと標準を強化して、資格のあるスタッフが最新のデジタルデータへの制御されたアクセスと使用を可能にし、機器類と承認されたデジタルフレームワークとプロトコルのネットワーク間の直接かつ安全な接続を実現するように努力し、原材料管理から最終部品の検証までの品質保証プロセスを改善する。
デジタルツイン技術は、国防総省のデジタルサプライチェーンの検証と改ざん防止にも使用されており、同組織は業界関係者と協力して、情報技術(コンピュータ、ソフトウェア、デジタルツイン)と運用技術(物理デバイスを管理するためのハードウェアとソフトウェア)のベストプラクティスとリスク管理アプローチを特定し実施する。
この戦略目標は、国防総省がAM製造の採用に対する現在の課題や障壁を克服するための道を開くものであり、技術の成熟度、労働力の専門知識、データ、材料、機械の可能性などの側面から、米国の防衛分野全体でのAM製造の普及に貢献することが期待されている。
国防総省とOSD ManTechは、今後も引き続き共同で活動しながら実施計画を改善し、3Dプリンティング・デジタル・ワークフローに関する政策及びイニシアチブを維持しながら、AM製造戦略を推進するために協力するとしている。
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