ケンブリッジ大学、3Dプリンティング技術を用いた螺旋状ナノ磁石の開発に成功
ケンブリッジ大学キャベンディッシュ研究所(Cambridge University’s Cavendish Laboratory)を中心とする研究チームは、3Dプリント技術を用いた螺旋状の微細なナノ磁石の開発に成功した。
3Dプリントされた螺旋状ナノ磁石とその新しい磁場(Photo : University of Cambridge)
この新しいナノ磁石は、DNA構造にヒントを得た二重螺旋形状をしており、カスタム3Dプリンティングプロセスで作製された。研究チームによれば、この構造はこれまでにない強い磁場相互作用を螺旋(3次元曲線)間にもたらすという。特に、3Dプリントされた螺旋は互いに回転することで、プリント磁石の螺旋間に強い結合(DNAの二重螺旋結合のようなもの)が発生することを確認。研究チームは、磁場中にナノスケールのトポロジーパターンを生成するこの現象を利用して、ナノスケールで磁力を緻密に制御することができる次世代の磁気デバイスを開発できると考えている。
3Dプリントされたナノ磁石のSEMイメージ(Photo : University of Cambridge)
研究チームによれば、従来のコンピューティングデバイスは2次元磁気システムをベースにしているため、小型化の限界に達しており、コンピューティングデバイスやデータストレージを進化させるため、3次元磁気システムへの移行に関心が高まっているという。この3次元ナノワイヤーアーキテクチャを用いることで、3次元磁気システムはより高い情報密度(より少ない物理的スペースでより多くのストレージ)と全体的な性能の向上を実現するとしている。
3Dプリントされたナノ磁石の3次元磁場(Photo : University of Cambridge)
ナノ磁石を3Dプリントした後、ケンブリッジ大学の研究チームは、先端のX線イメージング技術である軟X線ラミノグラフィーを提供する唯一のビームラインであるポール・シェラー研究所にある「PolLux Beamline of the Swiss Light Source」で3D測定を行い、3Dプリントされた螺旋磁石が、通常の2Dシステムとは異なる磁化テクスチャをもつことを発見。磁区の間にある一対の壁が互いに引き合うことで回転して固定され、プリントした磁石の螺旋間に強い結合が生じることが分かった。
3次元磁化を持つ磁石の3Dプリントに成功したチームは、今後、3次元磁場を持つより複雑なシステムの製作を探求し、粒子捕捉、画像化技術、スマート材料など、さまざまな領域への展開を計画している。
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