個々の3Dプリンタ固有の特徴から3Dプリントされた銃や偽造品を追跡する技術「PrinTracker」
ニューヨーク バッファロー大学の研究チームは、3Dプリントされた造形物と造形を行ったソースマシンを物理的にリンク(トレース)するための3Dプリンタ識別システム「PrinTracker」を開発した。
バッファロー大学のコンピュータ科学准教授Wenyao Xu氏は、同じ仕様で量産された3Dプリンタにも「指紋」の様な僅かな個体差があることに着目し、10台のFDM方式マシンと、4台のSLA方式プリンタの計14台を使用し、「PrinTracker」と名付けられた3Dプリンタ識別システムをテスト。
Wenyao Xu氏によれば「全く同じように構築されている3Dプリンタでも、ノズル、フレーム、ステッピングモーター、フィラメントなど、設置されている部品の特徴や、製造プロセス中に発生するほんの僅かな個体差により、3Dプリントされる造形物には固有のパターンが存在する」と言う。
これを実証するため研究チームは、小型イメージスキャナーを利用し、テストプリントされた数種類の造形物からデジタル画像を作成し、各画像を強調してフィラメントパターンを特定。その後、識別機能の信頼性を検証するため、各キーのバリエーションを調整して計算するアルゴリズムを開発した。
独自のアルゴリズムによって形成されたデータとデータベース情報を比較し、造形物からソースモデルとなる3Dプリンタを正確に追跡した際の正解率は99.8%と高く、期間を開けた10ヶ月後に再びPrinTrackerによるテストを行った場合でも、造形物とソースモデルとなる3Dプリンタを特定することが可能であると証明。
研究チームはまた、識別を困難にするため、様々な方法を用いて意図的に造形物を損傷させたが、この場合でも92%の確率で識別に成功した。
PrinTrackerを用いることで、3Dプリントされた銃や偽造品のソースマシンを特定することが可能となるが、特定の事件による犯罪捜査を除き、3Dプリント銃などの違法な物を正確に追跡するには、市場にあるすべての3Dプリンタの個体情報をデータベースに記録しなければならず、現実的には不可能に近い。
研究チームは、10月15日~19日にトロントで開催されたコンピュータ・通信セキュリティ協議会で、「PrinTracker」に関する研究結果を発表した。
ソース:University of Buffalo News Center
関連記事
- 生ゴミから3Dプリンタ用フィラメントを生成
- 大型3Dプリンタ企業BigRepがBoschと提携
- Desktop Metalが3Dプリントシステムを発表
- 造形台への接着性を向上させる「Magigoo Pro」
- DS Dollが3Dプリント製セクサロイドの試作機を発表
- CNNを用いて手書きスケッチから3Dモデルを生成
- 動画から3Dプリント可能な3次元モーションデータを生成
- 3Dプリント部品の表面を自動的に滑らかにするマシン発売
- 3Dプリンタ銃所持容疑で二人目の逮捕者
- 3Dプリント銃問題で米国務省と和解が成立
- MX3DはDDWで世界初の3Dプリント橋を展示
- BigRepが超大型3Dプリンタを発表?
- タブレット使用の小型3Dプリンタ「LumiFold TB」
- ナノダイヤモンド強化の3Dプリンタ用PLA材料を開発
最新情報をお届けします
Twitter でid.artsをフォローしよう!
Follow @idarts_jp