- 2018-10-6
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Formlabsは3Dプリントソリューションへの投資を拡大し高速で現実的な3DサージカルモデルをNorthwell Healthへ提供
Formlabsは、23の病院施設と665の外来患者用施設を持ち、18,500人以上の医師が所属するニューヨーク州最大の医療機関「Northewell Health」に対し、患者固有の人体模型およびサージカルガイドの生産を増やすため、強力な3Dプリント自動化ソリューションを実現する『Form Cell』を、Northwellの3D Design and Innovation Centerに納入した。
Northwell Healthは既に、3Dプリント研究所でFormlabsの3Dプリンタ「Form 2」をスタンドアロンで利用しているが、Form Cellの導入による生産増加を試みる。パーソナライズされた人体模型により、外科医は患者の解剖学的構造の感覚を実践的に把握し、手術室に入る前に設備を調整でき、手術準備をより効果的に行える。整形外科手術または腫瘍学的手術の最中に、3Dプリントされた患者固有のサージカルガイドを使用することで、腫瘍の摘出またはネジを挿入するための穴の深さがより正確になる。
同社は、今回のパートナーシップによる事例の一つとして、術前3Dプリントモデルの活用を紹介している。
ニューヨーク州ニューハイドパークにあるコーエン小児医療センター 小児耳鼻科医学博士であるNeha A. Patel医師の元を訪れた7歳の少年Isaiah君は、診察の結果、口蓋骨と鼻腔に悪性腫瘍が見つかり、早々に腫瘍摘出手術を受けることが決まった。
Isaiah君の父親であるBarnaby Goberdhan氏は、Isaiah君の口蓋骨を3Dプリントした人体模型を使用し、手術を物理的に可視化した分かりやすい説明を受けることができ、当時の様子を次のように語っている「3Dプリントされた息子の人体模型は、手術の説明に非常に役立ちました。先生は、手術がどのように行われるかを言葉だけでなく、視覚的にも説明してくれました。自分の子供が手術を受けることほど恐怖とストレスを感じることはありません。Patel先生は、できるだけIsaiahの歯を残し、口内を必要以上に切らずに済むように、いくつかの選択肢を段階を追って説明してくれました。私の質問にすべて答えてくれたので、恐怖を感じることなく、息子がこれから直面することを本人に伝えるための心の準備ができました。Isaiahにも心の準備をして欲しいと思っていました。3D人体模型のおかげで、親子で落ち着くことができました。」
参考イメージ
Patel博士は、Todd Goldstein博士およびその3D Design and Innovation Centerと協力して、Isaiah君の3D人体模型を開発。Goldstein博士は、Isaiah君のCTおよびMRIスキャンの結果から、パーソナライズされた彼の口および鼻腔の3Dレンダリングを作成でき、Formlabsの業界をリードする3Dプリント技術を使用して、腫瘍のある状態と腫瘍を摘出した状態の人体模型をプリントした。
Northwell Healthによる最近の調査データによると、3Dプリントされた人体模型またはサージカルガイドを複雑な症例で使用することで、手術室にいる時間を少なくとも10%短縮できることが分かっており、たとえば、厳選した手術症例の10~15%で、3Dプリントした人体模型またはサージカルガイドを使用できれば、1,150件の年間症例で手術室にかかるコストが約$1,750,000削減される。この結果に基づくと、Northwell Healthは、Form Cellで3Dプリントした人体模型を使うことで、4年以内に、手術室にかかるコストだけでも約$700万節約できることになる。
Patel博士はこれについて次のように述べている「私は、Northwellの集学的チームの一員として、頭頸部手術分野のDev Kamdar博士、歯科補綴学のKen Kurtz博士、神経放射線学のKorgan Koral博士と協力して、Isaiah君の治療戦略を立てました。私たちはGoldstein博士のチームと協力して初めて、3Dプリントと手術を統合し、Isaiah君の家族と意思決定プロセスを共有することができました。3D人体模型は、患者への手術の説明や手術の計画に役立ちます。Isaiah君の例では、腫瘍の場所を可視化して、その場所の主な構造を維持できるか決定する必要がありました。口蓋骨と鼻腔は眼窩や歯に近く繊細な場所です。正確さはとても重要です。3D人体模型は、正確な手術に立ちました。」
4月18日に手術を受けたIsaiah君は現在、手術の傷も癒えて両方の鼻孔から呼吸できるようになり経過も良好。いまでは他の子と同じ様に走ったり、遊んだりすることも可能となり「手術前は鼻で呼吸しづらく、家族や学校の友達と遊ぶのが大変だったけど、今は手術のおかげで、呼吸が楽になりました。」と語っている。
Formlabs Form Cellを導入したことでNorthwellは、人体模型およびサージカルガイドの生産を増やし、手術の事前計画と分かりやすい説明をさらに多くの患者に広めることがでくるとしている。
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