- 2017-3-3
- 建設・建築・インテリア, 最新情報
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建設現場で組み立て可能な移動式3Dプリンタでコンクリート住宅を建築
モバイル式建設用3Dプリンタを開発するロシア企業「Apis Cor」社は、2016年10月に発表した3Dプリント住宅プロジェクトを12月に竣工し、ロシア郊外の町StupinoにあるApis Cor社の試験施設内に、3Dプリント住宅を完成させた。
この3Dプリント住宅は、外壁や間仕切り壁などを独自開発の3Dプリント技術で建設しており、着工からわずか24時間でその作業を完了した。
内外装仕上げやインテリアについては、TechnoNICOLやBITEXなど大手建材メーカーの他、サムスンが協力しており、各分野に特化した高度な技術を用いることで、気候条件の厳しい極寒のロシアでも快適に過ごせる住宅として完成している。
3Dプリント中の様子
内外装仕上げを施し完成した3Dプリント住宅の面積は38㎡。
開発コンセプト
一部の先進国を除く多くの国では、豊かで安全な暮らしを送るために必要となる「家」を持つことができない家庭も多い。現在開発が進む3Dプリント建築プロジェクトの多くは、より安価に短時間で安全な住宅を建設することを基本コンセプトとしており、今回紹介したApis Cor社のプロジェクトも同様のコンセプトの元、研究開発が進められている3Dプリント建築プロジェクトの一つとなっている。
Apis Cor社は、独自の3Dプリント技術をベースにした新しい建築材料を使用し、手頃な価格で環境に配慮した住宅を1日以内に建設することで、世界中の人々の生活条件を改善することを目的に独自の建築用モバイル3Dプリンタを開発している。
モバイル式建設用3Dプリンタの性能
Apis Corのモバイル式建設用3Dプリンタは、4×1.6×1.5m/重量2トンのコンパクトサイズ設計で、直接建設現場へ運ばれた後、2名(運用管理者と資材供給者)の作業員が30分程度の軽作業でインストールを終えることができるシステムになっている。
消費電力8KWで可動するモバイル3Dプリンタは、アームを拡張することで最大132m²の3Dプリントが可能。
従来の建築方式と異なる高強度な3Dプリント住宅は、物流コストや材料コストを大幅に削減するだけでなく、環境への影響も大幅に軽減することができる。
完成した住宅の建設コスト
完成した3Dプリント住宅の建設費用は以下の通り。尚この費用には、土木、屋根、外装、内装仕上げ工事、壁、窓、床、天井の断熱材の設置に伴う作業と材料費、家を作るために行われたすべての作業が含まれます。
- 基礎:$277
- 壁:$1,624
- 床と屋根:$2,434
- 配線:$242
- 窓とドア:$3,548
- 外装仕上げ:$831
- 内装仕上げ(吊り天井を含):$1,178
合計$10,134で、平米単価は$275。これは、同地域の平均的な建設価格よりも平米あたり$223も安くなっている。
インテリアには協賛するサムスンの家電が設置されている。
モバイル式建設用3Dプリンタの技術仕様
- 本体サイズ:4~8.5m(長さ)、1m(幅)、1.5m(高さ)
- 本体重量:2トン
- 材料:繊維コンクリートまたはジオポリマー
- 最大操作領域:132㎡
- 最大(一点からの)高さ:3100mm
- 出力:100㎡/24時間あたりの有効面積
- プリント速度:1~10m/分
- アイドリング速度:X / Y 20.000mm /分
- 位置決め精度:±0.5mm
- 繰り返し位置決め精度:0.1~0.2mm
- X / Y / Z軸ドライブ:サーボドライブ
- Z軸位置決め精度:0.1~0.2mm
- 自動水平安定化:0.0001度
- リバーススイッチ:全軸非接触
- ヘッド位置追跡方法:ジャイロスコープとレーザー距離計
- 空間安定化:PIDコントローラ
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