アルキメデスの原理を応用した低コストで高精度な3Dスキャン技術「Dip Transform for 3D Shape Reconstruction」
イスラエルのテルアビブ大学、ベン=グリオン大学、中国の山東大学、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学など、世界中の大学研究者等から構成された研究チームは、アルキメデスの原理(流体中の物体は、その物体が押しのけている流体の重さ(重量)と同じ大きさで上向きの浮力を受ける)をベースにした、新しい3Dスキャン技術「Dip Transform for 3D Shape Reconstruction」に関する研究成果を、 2017年7月30日~8月3日まで米国・ロサンゼルスで開催される「SIGGRAPH 2017」で発表する。
Dip Transform for 3D Shape Reconstructionは、ロボットアームに装着された複雑な3Dオブジェクトを軸に沿って液体に浸すことにより、液体の容積の変位を測定。
この液体の変位を測定することで、浸漬されたオブジェクトの正確な形状を捕捉する。
小さなプールに浸された物体が浸水するにつれて変化する水の容積を1レイヤー毎のスライス状に形成し、これを複数の角度に渡って繰り返すことで、物体の全体形状を正確に捕捉することができる。
下図左、ロボットアームを用いてオブジェクトを浸漬し3次元情報を取得。
左2番目から順に、100dips、500dips、1000dipsと浸漬方位による計測数が増加するにつれスキャン精度が向上しているのが確認できる。
このディッピング技術は、CTスキャンに幾分類似おり、一般的なレーザースキャナでは計測が困難な3Dオブジェクトの隠れた部分を計測することができる。
X線の代わりに水を使用することで低コストでより安全な3Dスキャンを実現するため、多くの研究分野へ応用できると期待されている。
上図(a)浸漬中のオブジェクト画像、(b)3Dプリントされたオブジェクト、(c)光学スキャナによるスキャンデータ、(d)Dip Transformを用いた3Dスキャンデータ。一般的なスキャナで計測できない入り組んだ内部も、スキャンされている。
しかしこのスキャニング技術には、計測速度の遅さと、オブジェクトを液体に浸した際に発生する気泡による誤測定などの課題が残っている。研究チームは既にこの問題を克服する方法に取り組んでおり、近い将来スキャン対象物から余分な情報を排除することができるとしている。
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