KAISTの研究チームは3Dプリンティング技術に基づく形状適合電池の製作技術を開発
韓国の国立大学「KAIST(カイストゥ: Korea Advanced Institute of Science and Technology)」の研究チームは、ハーバード大学工学部応用科学科共同で、電池設計の多様性を大幅に高めるための3Dプリント技術を開発した。
多種多様な電子機器の登場により、電池の小型化やフレキシブルな設計対応が求められるなか、現在の電池形状のほとんどはコイン型または角型で、デバイスに対し非効率なスペースを必要としている。エネルギー貯蔵装置としての電池は、小型電子装置における空間の大部分を占めるため、電池の形状を自由に変えることができる技術が必須とされている。
KAISTおよびハーバード大学の共同研究チームは、3Dプリント技術を使用して、リング型、H型、U型などの様々な形状の電池製造に成功。カスタマイズされた3D構造からなる導電性ポリアニリンをベースとするカソードは、2分で50%の容量に達する非常に速い充電速度を示し、活性カソード材料を分離することなく製造できるため、高い機械的安定性を有する様々な形態の電池製造が可能となった。その一例としてKAISTは、韓国化学工業研究所(KRICT)との共同研究によって生成された3Dプリント電池を、小型ウェアラブル電子機器(ウェアラブル光センサーリング)に応用した。
研究チームは、カスタマイズされた電池パックを作るため、環境に優しい「Aqueous Zn-ion batteries」を採用。研究チームが採用したこの電池は、大気中の湿気や酸素と接触しても安定しているため、引火性の高い有機電解質を使用する従来のリチウム二次電池と比較してはるかに安全であり、クリーンルームおよび危険な溶媒を必要とせずに様々な形態の電池を製造することができる。
3Dプリント技術によって生成されるカスタム電池は、ウェアラブルデバイス、マイクロロボット、植込み型医療機器、マイクロ電子記憶装置などのニッチな用途に簡単に適用することができる。
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