MITの研究者が低コストで衣類などをプリントできる3Dプリンティング手法を開発
マサチューセッツ工科大学(以下 MIT)の研究者は、3Dプリンタの押出し不足を利用して、衣類などの繊維製品を低コストでプリントする新しい3Dプリント方法を開発した。
ほとんどの衣類は、高価な専用の機械を備えた施設で大量に生産されているが、3Dプリント技術を用いたファッションは、従来の縫製やニット技術に代わる新しい生産技術のひとつとして、ファッション業界でも注目されている(関連記事はこちら)
しかし、これまでに開発されてきた3Dプリント技術応用のファッション(繊維製品)におけるプロトタイププロセスには、新しい素材やカスタマイズされたハードウェアなどが必要であり、柔軟性や通気性に欠けるだけでなく、コスト的に大きな負担を強いる内容の物が中心となっている。
今回、MITの研究者が開発した「DEFEXTILES」と呼ばれるこの3Dプリント手法は、安価なFFF/FDM方式3Dプリンタと汎用素材を使用するため、非常に低コストでファッション(繊維製品)をプリントすることができる。
「DEFEXTILES」のプロセスは、FFF/FDM方式の3Dプリント時に発生する押出し不足を利用した物で、押し出されたポリマーが発生するバネ性と柔軟性を利用して、小さな隙間を特徴とする製品を製造することができる。このプロセスは、特別なソフトウェアやハードウェアを必要としないシンプルな技術をベースとしている。
通常であれば、FFF/FDM方式3Dプリンタの欠陥として見られる押出し不足(未抽出部分)を、薄くて柔軟性のあるテキスタイルとして利用するこの3Dプリント手法は、吐出された材料によって形成される小さな球体とそれを繋ぐ糸状の部位から構成されており、この状態で連続したプリントを実行することで任意に設定された隙間ができ、最適なレベルの柔軟性と通気性を有したテキスタイルを生成することができる。
プリントに適した最適値を発見した研究者は、サポート構造を必要とせずに、隙間やオーバーハングを特徴とするより複雑な3次元形状を作製できることを発見。更に、CADソフトウェアを使用して異なるポイントで生地の不透明度を変更できることなども発見するなど、マルチマテリアルシステムを用いることで、異なる特性や色の部品を製造できる方法を開発。
世界がよりサスティナブルな未来に向けてシフトするなか、ファッション業界における廃棄物削減手段のひとつとして提案されている。
この新しい3Dプリントプロセスは、特殊なハードウェアや後処理工程を必要としないため、さまざまな3Dプリントシステムや樹脂材料と互換性があり、その柔軟性を活かした調光スイッチを備えた変形可能なランプシェードの3Dプリントなど、様々なプロダクトへも応用することができる。
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