世界的な食品廃棄問題に対応するため3Dプリント技術で廃棄食材をリサイクル
アイントホーフェン工科大学で、インダストリアルデザインと食品工学を学んだオランダの起業家 Elzelinde van Doleweerd(以下 エルゼリンデ)は、社会問題化している食品廃棄を解決する手段のひとつとして、廃棄食材を材料としたリサイクル3Dプリントプロジェクトを開始した。
image:elzelinde.com
国連食糧農業機関(FAO)発表のデータによれば、世界では年間13億トンもの食品が食されることなく捨てられており、全世界で生産されている食品の約3分の1に相当すると言われている。
ちなみに日本では、1,676万トンの食品廃棄がある中、食べられる状態で廃棄される量は3割以上に上るとされている。※ NPO法人 全国もったいない市場 調べ
新しい生産技術により、美しい料理や新しい食べ物をデザインし、先進国において深刻化する食品廃棄問題の解決に情熱を注ぐエルゼリンデは、最後の学士号プロジェクトとして、2018年6月28日にフェンローで開催された「3D Food Printing Conference」で『Upprinting Food』というプロジェクトを発表。
この膨大な量の食品廃棄の原因となるのは、食品の鮮度を保つことが難しい点にある。エルゼリンデの暮らすオランダも例外ではなく、パンなど多くの食品が毎日食べられることなく廃棄されており、彼女は自宅にあった古いパンを使ったフード材料の開発からスタートした。
このフードプリントプロセスは、身近にある様々な廃棄食材を乾燥させてドライフード化するところからスタートする。乾燥を終えた廃棄食材は粉砕し、3Dプリントに適したペースト状に作り替え、劣化を防ぐため空気に触れぬよう密閉容器に保存。ペーストは、フード3Dプリンタ用材料として使用され、出力された食品はその後、腐敗の原因の一つである湿気を取り除くためオーブンで焼かれ、長期保存可能なクッキーやクラッカーのようなリサイクル食品へと生まれ変わる。
エルゼリンデは、北京に本拠を置く「3D Food Company」と協力し、米をベースとしたプリント可能なフードペーストなどを開発。中国においても社会問題化している食品廃棄物に関する問題を探求するため、北京のデザインウィークでプロジェクトを発表。彼女は現在、中国国内において廃棄食材を利用した新しいリサイクルビジネスを計画している。
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