小物を造形して3Dプリンタ「Form 2」の精度を検証

SLA方式の3Dプリンタ「Form 2」と標準材料を使い造形ピッチの違いを検証

先日アップした記事『ユーザビリティの高さが特徴の高精度3Dプリンタ「Form 2」』において、FormlabsのSLA方式3Dプリンタ『Form 2』の基本性能や特徴についてお伝えしたが。今回は、標準材料の一つである「ブラック V2」を使った造形精度の検証内容をお伝えしたい。

ミンティアケースを3Dプリント

注)今回の検証では「雑貨」や「玩具」などの製品開発現場で利用される、意匠確認用モックアップへの活用を想定した内容となっていますが、素材とさせていただいたモチーフは、機器の検証及び習作のため用意したモノで、関連製品の販売予定もデータの公開予定もございません。

下写真は、以前SLS方式(粉末ナイロン)で3Dプリントしたミンティアケース。今回の検証では、写真と同じデータを利用し、Form 2で3Dプリントを行ってみた。

ナイロン素材で3Dプリント後、ブラックに染色したミンティアケース

PreFormでデータを確認

先ずは、Form 2(Form 1)専用のソフトウェア「PreForm」にSTLデータを読み込み、細部にエラーが無いかを確認。
PreFormでは、画面右にあるスライダーを上下させることで、データをスライス(断面)化し、モデル部及びサポート部の内部まで細かく確認することができる。
一般的なスライスソフトにも類似の機能はあるが、PreFormの断面機能はシンプルで分かりやすい。欲を言えば、X・Y・Z各方向から断面確認ができると良い。

サポートの生成は基本的に自動だが、生成後にエラーとなる部位がある場合、エラー箇所が赤く描画されるため造形前に確認することができる。
エラー対象となる赤い部位には、マニュアル操作でサポートを追加し回避する。

また、PreForm上に読み込まれたデータは、選択したマテリアルに合わせて自動でカラーが設定されるため、仕上がりをイメージしたプレビューが可能となる。

選択したブラックマテリアルのプレビュー画面

0.05と0.025ピッチで造形

今回の検証造形では、0.05ミリピッチ、0.025ミリピッチの2種類で造形を行っている。

写真手前にある「駐屯兵団」、中央左にある「憲兵団」は0.025ミリピッチ。中央右「調査兵団」、奥「訓練兵団」は0.05ミリピッチで造形。

0.05ミリピッチ

フラットワイズなデータの場合、造形物がプラットフォームから剥離してしまう場合があるため、全てのデータは10度程度の角度をつけて造形している。

0.05ミリピッチによる造形では若干の積層跡がみられるが、初期の意匠モックアップなどでの利用としては十分な精度がでている。


0.05ミリピッチ/造形時間 3時間39分

0.05ミリピッチ/造形時間 2時間54分

積層跡をある程度軽減するためには造形時の角度をZ方向(縦方向)に伸ばすように設置するのが良いが、造形方式に関わらず、一般的にはZ方向に延長することで造形時間が増加することになる。
限られた日程で数多くの造形が必要となるような開発現場では、短時間で効率よくプリントできるよう、角度を調整して造形時間を短縮させる工夫も必要となる。

0.025ミリピッチ

下は同じ材料を使用し、0.025ミリピッチで造形したモノ。前述の造形物同様、プラットフォームからの剥離を避けるため同程度の角度を設定し造形しているが、表面の積層跡もほとんど目立たず非常にキレイな仕上がりとなっている。


0.025ミリピッチ/造形時間 5時間2分


0.025ミリピッチ/造形時間 5時間4分

まとめ

FDM/FFF方式と違い、積層跡があまり目立たないSLA方式では、造形後に材料に適した研磨剤で表面を軽く研磨するだけで、最終製品をイメージしたモックアップも製造可能となる。
SLA方式による3Dプリントの場合、モデルと同材で生成されたサポート材の除去に一定の作業は必要となるが、商品の入替えが早く開発サイクルの短い小物類などの開発現場では、表面仕上げなどの後処理工程を極力省き、出来るだけ短時間で効率よくモックアップ制作をできることが重要な場合もあるため、高精細な3Dプリンタは非常に使い勝手が良い。

2017年9月に発売開始される同社の後処理ツール『Form Wash』と『Form Cure』を利用すれば、作業効率は更に向上すると思われる。

 

今回の検証用素材として参考利用させていただいた「進撃の巨人 シーズン2」は、2017年4月1日より全21局で放送中。


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