カリフォルニア大学は高拡張性能を有したSLA方式3Dプリンタ用発泡樹脂材料を開発
カリフォルニア大学サンディエゴ校のナノエンジニアリング学科の研究チームは、SLA(光造形)方式3Dプリンタで使用するための膨張性発泡樹脂を開発した。
この樹脂は、UV硬化後に熱を加えることで膨張する特性を有しており、製造に使用する3Dプリンタのビルドボリュームを大幅に上回る部品を製造することができる。
通常の樹脂材料は、マシンのワークスペースまたはビルドエリアによって制限されているが、研究チームは、建築、航空宇宙、エネルギー、生物医学など、技術的に要求の厳しい分野での応用の可能性を挙げながら、これらの幾何学的制限の制約を打破することを目標に樹脂材料を開発。
研究の第一段階では、ポリマー樹脂のビルディングブロックとして機能するモノマーの選択に焦点を当てている。モノマーは紫外線硬化性で、比較的短い硬化時間で、高ストレス用途に適した機械的特性を示すものでなければならないため、チームは複数の候補素材をテストした後、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(以下 HEMA)を選択した。
モノマーの選択後、研究チームは、最適な光重合開始剤濃度とHEMAと対になる適切な発泡剤探しに着手。2種類の光重合開始剤を用いて、ほとんどのSLAシステムで一般的に使用されている標準的なUVライト(405n)で硬化するかをテスト。光重合開始剤は1:1の割合で配合され、最適な結果が得られるように5%の重量比で混合されたこの発泡剤は、HEMAの細胞構造の拡張を促進し「泡」を発生させるために使用される。テストで使用した発泡剤の多くは不溶性であったり、安定化が困難であったりしたが、チームは最終的にポリスチレンライクポリマーに使用される発泡剤に落ち着いた。
チームは発泡性をテストするため、安価な3Dプリンタ「はAnycubic Photon」を使用して簡易的な3Dプリントモデルを作製。造形物は、最大200℃で10分間を加熱された後、発泡剤が分解されて樹脂の発泡作用が活性化しサイズが拡大。膨張前と膨張後の寸法を比較したところ、最大で4000%(40倍)の体積膨張率を実現した。
この技術は、膨張した材料の密度が非常に低いため、エアロフォイルや浮力補助材などの軽量な用途に使用できると考えられている。
この研究の詳細は「Highly Expandable Foam for Lithographic 3D Printing」と題した論文に掲載されている。
関連記事
- Formlabs、高弾力性材料「Tough 1500 Resin」をリリース
- 抗菌作用フィラメント『MD Flex』販売開始
- 抗菌作用フィラメント「PLACTIVE AN1」
- ステンレス鋼部品製作用「Ultrafuse 316L」販売開始
- 金属フィラメント対応の低価格3Dプリンタ「Adventurer3X」
- 次世代小型3Dプリンタ「Adventurer 3」
- 世界最軽量フィラメント『Pegasus PP Ultralight』販売開始
- レーザー彫刻可能なフィラメント「Laser Marking PLA」発売開始
- 化学品メーカーが高速硬化3Dプリント用樹脂材料開発
- Markforgedが純銅材料をリリース
3DP id.arts の最新投稿をお届けする「Newsletter 3DP id.arts」への登録はこちら
最新情報をお届けします
Twitter でid.artsをフォローしよう!
Follow @idarts_jp