- 2021-9-1
- 最新情報
- 3DFS, 3DPrinter, 3DPrinting, 3Dプリンター, 3Dプリンティング, 3Dモデリング, eco, FDM, FFF, filament, robot, エコ, テクノロジー, バイク, フィラメント, ペレット, リサイクル, 工業製品, 建築関連, 試作
ExtraBold、純国産の工業用グレード大型積層造形機「EXF-12」の量産機を販売開始
2017年に設立され、今春、新たな資金調達により大型3Dプリンタの量産化や独自3Dプリントヘッドの開発を加速させてきた ExtraBold(以下 エクストラボールド)は、昨年発表された独⾃開発のコンテナサイズ⼤型3Dプリンタ「EXF-12」の量産試作機をベースに、樹脂のマテリアルリサイクルが可能な工業用グレードの大型3D積層造形機(3Dプリンタ)の量産機を発表。2021年9月から販売を開始する。
関連記事:ExtraBold約3.6億円の資金調達を実施
洗練された外装デザインはクリエイター集団seccaが担当
「EXF-12」は、樹脂ペレット材を射出成形スクリューを利用した独自設計のヘッドにより熱溶解押出積層造形する方式の製造業向け工業用グレードの大型3D積層造形機で、一般的な樹脂ペレットやリサイクル樹脂ペレットも材料として利用可能。低コストの大型造形を実現した量産機は、開発から製造までALL JAPAN MADEによる製造業向けの工業用グレードマシンで、一般的に普及している小型3Dプリンタや実験機レベルの類似方式の3Dプリンタによる以下のような課題解決を目指した。
- 造形時間がかかる
- 造形サイズが小さい
- 限れた材料選択肢
- 製造業向けではない
量産機においても、1時間あたり15Kgの樹脂吐出量を実現し、最大1700×1300×1000mmの大型かつ高速な造形を実現。3Dプリンタ専用材料は不要で、一般的な多種の樹脂ペレット材を使用できるため、低コスト化やリサイクル材の活用が可能で、工作機械で使用されているFANUCの制御装置を採用している。
量産機の特徴
独自の射出成形タイプの3Dプリントヘッドで最大15kg/1hで安定した吐出を実現
特徴的な大型3Dプリントヘッドは、従来の3Dプリンタヘッドの延長ではなく、射出成形(インジェクション)のスクリューとノズルを参考に専用設計。2mm~8mmのノズルが利用可能で、最大15kg/1h(8mmの場合)の大容量吐出と、安定した吐出を両立。
安定した吐出で実現できた美しい積層痕
量産機としての品質を目指すため1から新規設計。高剛性と十分な機械精度を実現
すでに市販されている同様の熱溶融押出方式の大型3Dプリンタの多くが既存の小型3Dプリンタとほぼ同様な構造で作られている実験機レベルものが多く、製造現場で利用するための本格的な工業用グレードのものが少ないのが現状。今回の量産機「EXF-12」は、工作機械としての基本構造をベースとして高い剛性のフレーム設計を施し、必要十分な機械精度も実現。また駆動系にボールねじを採用し、一般的な工作機械と同等なスムーズかつ高精度な3Dプリントヘッド部の動作を実現。コントローラーに、FANUC社製のFS31iを採用し、工作機械で広く利用されているGコードでの制御をするシステムとなっている。
ボールねじを採用することで高精度な駆動を実現
専用設計のチャンバールームで安定した造形を実現
造形時の熱収縮によるソリなどを抑えるための造形エリアは、専用設計のチャンバールーム(温度コントロール機能装備)になっており、ヒートビルドプレート(~100°Cまで保温可能)には、造形物を定着させるための樹脂シートを安定して固定するためのバーキューム機構も装着し、安定した造形を実現。
チャンバールーム機能使用の有無によるソリの差
様々材料を使えるメリット
一般的な熱可塑性樹脂ペレットであれば材料として利用可能。様々な材料を使えることはもちろん、3Dプリンタ専用の材料を使う必要が無いため、大幅なコストダウンが期待できる。また、リサイクルペレットももちろん利用可能。さらに、ペレット材の配合をその場で変えることで、適切な材料の造形物を作ることも可能。
造形可能サイズは最大で1700mm x 1300mm x 1020mmかつ高速造形を実現
最大15kg/1hの3Dプリントヘッドの大容量吐出と、広い造形エリアの組み合わせにより、安定かつ高速造形を実現。1mを超える大きな造形物を様々な材料を使って製作することが可能で、写真のエラストマー材による椅子(大)であれば、およそ5時間で造形が可能。
エラストマー材でプリントされた実際に座れるソファ
KOBASHI ROBOTICSと協業し量産機製造をスタート
安定した量産を進めるため、小橋工業株式会社のグループ会社であるKOBASHI ROBOTICSへ量産体制の構築および量産機の製造を委託。同社は、開発から試作、量産・物流まで、ものづくりの各プロセスを包括的に支援するサービスを提供しており、岡山の同社工場にて、エクストラボールドの技術メンバーと共に量産機を製造。KOBASHIグループの協力により、品質の高い工業用グレードの大型3Dプリンタの量産化に成功した。
基本スペック
- 動作範囲:X 1700mm Y 1300mm Z 1020mm
- 造形範囲:X 1700mm Y 1300mm Z 1000mm
- ヘッド数:シングルヘッド
- 造形時最大射出量:最大15kg/h
- ノズル径:φ2~φ8
- 軸ガイド:リニアガイド
- 駆動方式:ボールねじ
- 繰り返し位置決め精度:±0.1mm
- 使用樹脂:ABS,ポリカABS、PP、PLA、エラストマー、CFRPなど ※汎用プラスチック対象
- テ-ブル積載可能重量:300 kg (均等荷重)
- テーブル制御温度:最高 80℃
- 造形物固定:バキューム
- チャンバー制御温度:最高 50℃
- 制御装置:FANUC31i
- スライサーソフト:汎用スライサーソフト+ポストプロセッサー
- 電源:AC200V
- 外形寸法:W3500 D2100 H2120~2930
- 必要設置スペース:W4200 D3150 H3100
- 重量:2000kg
- 運搬:10tユニックまたはJR12Ftコンテナ、3tフォークリフトで持ち上げ可能
ターゲット市場と今後の見込み
自動車のパーツや家具などそのまま製品として利用することはもちろん、住宅関連のエクステリアや型枠、大物の樹脂型、鋳造などのマスターモデルなどでの活用も想定しており、大手メーカーの生産技術部門や研究開発部門、部品メーカーほか住宅関連企業、3Dプリンタサービスビューロなどもターゲットとしている。
本製品はすでに、第一号ユーザーとして、愛知県の自動車関連部品や試作金型メーカーである前田技研から先行受注しており、9月に納入を予定している。2022年度の販売計画は10台を予定しており、まずは国内市場をターゲットに近い将来、海外への販売も計画している。
関連記事
- ExtraBold約3.6億円の資金調達を実施
- EXTRABOLD、12ftコンテナサイズの最新⼤型3Dプリンタを発表
- プラスチック廃棄物から生まれた3Dプリント製電動三輪車
- オレンジの皮で作られた3Dプリントランプ「ohmie」
- 漁網を3Dプリンタ用フィラメントにリサイクル
- 複合材用ロボットエクストルーダー「E50」
- 3Dプリント技術を活用した東京2020オリンピック表彰台が完成
- 世界最大の化学メーカーBASFがSculpteoを買収
- ポリマーAM市場が2030年までに年間550億ドルに成長
- 上位20のグローバルなAM市場
- 15棟の3Dプリント住宅から構成されたコミュニティ
- 抗菌作用フィラメント、ヒトコロナウィルス対する有効性を証明
- 100%リサイクルされたTPUフィラメント「Reciflex」
- 導電性フレキシブルTPUフィラメント「Conductive Filaflex」
- PET廃棄物から造られた3Dプリント構造物
3DP id.arts の最新投稿をお届けする「Newsletter 3DP id.arts」への登録はこちら
最新情報をお届けします
Twitter でid.artsをフォローしよう!
Follow @idarts_jp