- 2022-3-13
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浙江大学、液体金属マイクロゲルを用いて電子回路を3Dプリントする新しい方法を開発
中国の国立大学である浙江大学の研究チームは、液体金属マイクロゲルを用いて電子回路を衣類などに3Dプリントする新しい方法を開発した。
この新しい方法は、液体金属マイクロドロップレット(主にガリウム)をアルギン酸ベースのマイクロゲル殻に封入し、3Dプリント可能でリサイクル可能な液体金属マイクロゲル(LMM)インクを作製する。研究チームによればこのLMMインクは、生の液体金属に関連する加工性の問題の多くを解決し、様々な表面へフレキシブルな電子機器のプリントを可能にするという。研究チームは既にこの低コストな製法を用いて、近距離無線通信(NFC)タグをTシャツに3Dプリントし、スマートな電子衣料への道を切り開いている。
ガリウムとアルギン酸ナトリウム水溶液を使用したLMMインクの調製:浙江大学
液体状態のガリウムは電気伝導性に優れているため、導電性部品に最適と考えられており、フレキシブル電子回路、エネルギー機器、装着型健康監視機器、さらには電子皮膚への新しい応用が可能である。しかし、ガリウムは表面張力が高いため、連続的で複雑なパターンを形成することが難しく、表面エネルギーの低い球状になることが多い。そのため、この液体金属を純粋な状態で回路やその他の高精度デバイスにパターン化することが困難となっている。
この加工性の問題を解決するため研究チームは、ガリウムとアルギン酸ナトリウムの水溶液を攪拌し、Ga3+とアルギン酸ナトリウムを架橋して、マイクロゲルで覆われた液体金属液滴を形成する3Dプリント可能なLMMインクを独自に開発。このマイクロゲルの殻が、液体金属液滴のプリント性を向上させ、3Dプリントプロセスで使用できるようにした。
ストレッチして3DプリントされたLMM回路をアクティブにする:浙江大学
プリント直後のLMM回路は導電性を発揮しないが、少し伸ばすとインク中の非導電性アルギン酸塩の結合が切れ、回路を活性化することができる。また、3DプリントしたLMM回路を凍らせてプレスすることで再び導電性を持たせることができるため、宇宙空間などの極限環境でも使用することができるという。研究チームが活性化した3Dプリント回路をテストしたところ、フレキシブルエレクトロニクスに不可欠な特性の多くを示していることが分かった。そしてこの特性には、優れた導電性、ヒステリシスの小さい歪みに対する大きな抵抗反応、非平面方向の力に対する優れた耐久性などが含まれる。
研究チームは、低価格のLMMインクと3Dプリントのカスタマイズ性を組み合わせることで、個人向け健康モニタリング、触覚センサー、ヒューマンコンピュータインタラクションなどのスマート電子衣料を実現できる日が来るだろうと期待している。
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