ダイソン国際エンジニアリングアワード日本国内最優秀賞決定

開催15周年を迎えるダイソンの国際エンジニアリングアワード「James Dyson Award」日本国内最優秀賞を決定

一般財団法人 ジェームズダイソン財団は、次世代のエンジニアやデザイナーの支援・育成を目的に、財団が主催する国際エンジニアリングアワード「James Dyson Award (以下 JDA)」の国内最優秀賞作品を含む上位3作品を発表した。

世界27の国と地域から1,000を超える応募、日本からは過去最多となる51作品が集まった。今年の国内最優秀賞は、法政大学大学院デザイン工学研究科システムデザイン専攻の守屋輝一氏ら7名チームによる、自転車利用時の子どもの安全を守る「PROLO」に決定。
「PROLO」は、子ども用自転車のヘルメットとロックの連動システム。連日報道される交通事故の様子を目にし、子どもが命を落とす理由には、未解決の本質的な課題がまだ隠れているのではと考え、リサーチを始めた結果「子供は、親の目の届かないところではヘルメットを外しがちである」「安全性を追求したヘルメットは多いが、そもそも被っていない」という気づきをもとに開発された。

今回の受賞を受け、チームリーダーの守屋氏は「大変光栄に思うと同時に、ここがゴールではないことを考えると、いっそう身が引きしまる思いです。受賞を糧に、技術や資金面でのハードルをクリアしていけるよう、積極的に関係者を募り、開発スピードを早めていきたいと考えています。」とコメントしている。
受賞作品には賞金2,000ポンド(約27万円)が贈られる。受賞のニュースを受け、法政大学デザイン工学部岩月正見教授は「大学にとっても喜ばしいだけでなく、これから後に続く後輩たちに大きな勇気を与えることでしょう。」と話している。

JDA国内審査員の緒方壽人氏は「多数の応募作品の中には、発想は面白いが本当に必要なのか疑問であったり、解決すべき課題に取り組んでいるが本当に実現できるか判断が難しいといった作品も多い。その中で、今回の受賞作品はアイデアそのものの面白さ(WHAT)、なぜそれに取り組むのかという課題への着眼点(WHY)、それをどのように実現するのかという開発プロセス(HOW)、いずれの観点でも評価できる提案だった。」と総括している。

 

JDA2019 国内最優秀賞 PROLO

概 要
安全性を追求したヘルメットの開発は進んでいるが、そもそもの着用を促す製品は多くない。親の目の届かないところでも、子どもに確実に着用してもらうため「ヘルメットを自転車のロックにする」というシンプルなアイデアを仕組みに活かす。ヘルメットを着用するとロックが解除され、脱ぐとロックがかかる。ヘルメットには赤外線LEDとフォトトランジスタが取り付けてあり、照射した光を頭部が遮ることで、ヘルメットの装着を検出する。

製作者:守屋輝一、児玉裕己、高見澤諒、中村友優、石黒雄大、上田雄翔、阿部俊介氏
法政大学大学院 デザイン工学研究科 システムデザイン専攻

 

JDA2019 国内準優秀賞 Ubitone (ゆびとん)

概 要
盲ろう者は目が見えず、耳が聞こえないという二重のハンデによって大変な孤独にさらされている。自治体の支援のもと介助者のサポートを得ることができるが、特殊なコミュニケーションの習得を必要とするなどの課題があり、介助者の数は全国的に不足。Ubitoneは音声認識の結果を指点字という手法で盲ろう者の手に伝える。初期は卓上で使用する箱型のデバイスだったが、数多くのプロトタイプを通した使用者とのコミュニケーションの結果、現在は手首に装着する形状に至っている。

製作者:山蔦栄太郎氏 大阪大学大学院 工学研究科機械工学専攻
小西真広氏 大阪市立大学 電気情報工学科

 

JDA 2019国内準優秀賞 Fusion: Full Body Surrogacy for Collaborative Communication

概 要
これまでの手法は、人工的な身体を通じた個人の経験の複製をすることに焦点が当てられていたが、Fusionは、遠隔のユーザーと身体的な動作の共有を可能にする、ウェアラブルなテレプレゼンスシステムによる身体代理(サロゲート)システムである。私たちの身体にテレプレゼンスロボットを結合することで視点を共有した共同作業を可能にする。オペレーターはサロゲートロボットを操縦し、視覚・聴覚・触覚フィードバックによってロボットにテレポートしている感覚を得、サロゲートロボットは着用者を同じ視点から支援し、身体的な共同作業を提供する。

製作者:ムハマド ヤメン サライジ (MHD Yamen Saraiji)氏 慶應義塾大学大学院 メディアデザイン研究科
佐々木智也氏 東京大学大学院 工学系研究科

 

今後の審査の流れ

上記3作品を含む各国作品群は、国際第2次審査に進み、その中からTOP20作品が選ばれ、ダイソン創業者ジェームズ ダイソンによる国際最終審査に進む。選考結果は、TOP20を10月17日に、最終結果を11月14日に発表予定。国際最優秀賞受賞者には、賞金30,000ポンド(約450万円)を、受賞者が在籍または卒業した教育機関に寄附金5,000ポンド(約75万円)が贈られる。


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