軍用3Dプリント製プロペラブレード

フランス軍関連企業と大学研究チームがフルスケールの軍用3Dプリントプロペラブレードを開発

フランス海軍艦艇を建造する造船企業Naval Group(DCNS:Direction des Constructions Navales Services)とフランスの理工学・技術系最高教育機関であるエコール・セントラル(École Centrale)は、Wire Arc Additive Manufacturing(WAAM)プロセスを使用し、軍事用途向けの本格的なプロペラブレードモデルの3Dプリント技術を発表した。

この大きく複雑なプロペラブレードは、金属粉末から生成される一般的なメタル3Dプリント技術とは異なり、鋼線を原料としたロボットアーム式のアーク溶接によって生成されている。
今回デモモデルとして造られたプロペラブレードの重量は300kgを超えるが、このAM技術を利用することで、従来の製造プロセスに課せられていた限界を引き上げ、革新的な部品の設計と、より高い効率性を実現し、ステルス性能と軽量化を兼ね備えたプロペラなどの部品を、迅速かつ安価に生産することが可能になる。

開発チームを率いるCentrale NantesのJean-YvesHascoët教授によれば「AM(Additive Manufacturing)製造は、材料の使用量や製造コストの削減、軽量化、追加機能の統合や複雑な部品の組み立てなど、従来の製造プロセスでは実現できなかった可能性を提供する革新的技術への第一歩である」と語っている。

オランダに拠点を置くAM企業「RAMLAB」は、2017年にワイヤーアーク・アディティブ・マニュファクチャリング(WAAM)プロセスと、サブトラクティブマシニングを組み合わせた初の船舶用プロペラコンポーネントを製造し、大型船舶の迅速な修理を可能にする減算加工法を発表。
また、米国3Dプリンタメーカー3D Systems社は、米国最大の軍事造船企業「Huntington Ingalls Industries」と協力し、メタル3Dプリント技術を使用して海軍艦艇に必要な部品を製造することを発表するなど、船舶関連における3Dプリント技術の活用は、航空宇宙産業に次いで今後も拡大する可能性がある。


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